英語で日本を学ぼう No.033 名古屋城・愛知

名古屋城 Nagoya Castle

愛知県名古屋市にある日本三名城の一つ、名古屋城に行って参りました。

 

さすがに尾張徳川家の居城だけあり、非常に大きいです。

 

 

残念なことに、第二次世界大戦(大東亜戦争)の時にアメリカ軍の空襲(air raid)によって焼け落ちてしまいました。

 

しかし、のちに再建され、今では内部は展示室になっています。

 

もともと巨大な城なので、内部の展示も非常に充実していて、かなり見ごたえがあります。

 

木造天守への改築事業も企画されているようで、そうなるとこれからさらに名古屋城の魅力が輝くことになりそうです。

 

 

 

名古屋城本丸御殿 Nagoya Castle Honmaru Palace

 

 

先の大戦争中に焼失した名古屋城本丸御殿が復興しました。 

 

生活のため建物としての役割とともに、応接場所としての意味合いを強く持っている建物です。

 

それゆえ相手の「格(社会的地位)social status」によって、応接する部屋が変わってきます。

 

 

 

天井を見れば「格」がわかる

 

 

日本のお城やお寺では、ほぼ共通ですが、天井の様式をみれば、その部屋で応対する人物がどういった社会的地位をもつのかわかります。

 

それでは、いくつか天井に関する英訳が載っていたので、紹介していきます。

 

 

 

竿縁天井(かさぶちてんじょう): crosspiece

 

日本の天井では一般的な様式です。

 

 

 

格天井(ごうてんじょう): coffering

 

「coffer 格間 ごうま」とは四角形などのくぼみで、天井を装飾したもののことです。

 

 

 

折上げ天井(おりあげてんじょう): coving

 

coving とは「壁と天井のつなぎ目を曲面」にする建築技法のことです。 

 

ちなみに cove は「入り江」など「凹み」を意味します。

 

 

 

本丸御殿の中には、こういった様式の格式ある天井がつくられている部屋があります。

 

 

 

表書院の上段之間(折上げ小組格天井)

 

Omote Shoin "the main hall" (single-coved ceiling)

 

 

ただの格天井から「折り上げ」といって一段高くなるようになっているため、その分だけ格があがります。

 

 

 

この折上げ小組格天井よりさらに格が上がる部屋もあります。 

 

 

 

対面所上段之間(二重折上げ小組格天井)

 

Jodannoma, the raised room in Taimenjo "the reception hall" (double-coved lattice coffered ceiling)

 

 

こちらは格天井が二重で折り上げられているため、最高の格を持ちます。

 

将軍や大名クラスのための場所のようです。

 

 

こういったいろいろな天井は天井は二条城や格式の高いお寺などでもよく見ることができます。

 

特にお寺では仏様の真上の天井が一番格式が高く作られていることが多いようです。

 

 

 

名古屋城天守内部 Nagoya Castle Main Keep Interior

 

 

名古屋城の内部は展示室になっています。

 

天守を木造に改築された場合、展示自体は移転されることになるので、建て替えられる前に天守内部の展示が見られるのは今だけ可能なレアな体験かもしれません。

 

 

展示自体は名古屋城に関するものが主になりますが、江戸時代や武士について歴史を学ぶこともできる展示が多く、じっくり見て回るとかなり時間がかかります。

 

その分、歴史の勉強にも英語の勉強にもなるので、これから訪れる方はトータルで2~3時間ほど余裕を持たれるとよいと思います。

 

 

 

三英傑の称号の英語

 

 

愛知県と縁のある三英傑とよばれる織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の解説ボードがあります。

 

そのなかに「秀吉」と「家康」の称号も英訳がありましたのでご紹介します。

 

 

 

関白太政大臣は英語で何という?

 

関白太政大臣: Chief Adviser to the Emperor

 

 

「関白」とは成人した天皇を補佐する役職のことです。

 

一方、「摂政」は天皇が成人するまでや、病気の際に補佐する役職です。

 

英語では regent といって王や皇帝を補佐する摂政・関白のような役目が存在します。

 

 

摂政・関白の職は藤原氏の中でも「一条」「二条」「九条」「近衛」「鷹司」の五摂家(Five Regent Houses)と呼ばれる一部だけがつくことができる特殊な地位でした。

 

そこで秀吉はいったん「猶子(ゆうし)」という養子の形式のひとつとして近衛家に入り、関白の職についています。

 

 

「太政大臣」は日本の法律である律令制の上では最高の権限のある職でした。

 

しかし、摂政・関白といった天皇により近い職を血縁で固めた藤原氏が独占すると、次第に形骸化していきます。

 

壮大なスケールで「コネ人事」がまかり通っているのに、まじめに職務で力を発揮して出世できるわけないですから。

 

 

また秀吉の代名詞ともいえる「太閤」とは関白を辞した人物の呼び名です。

 

「天皇 ⇒ 上皇」とよく似ていて「関白 ⇒ 太閤」となっています。

 

 

 

征夷大将軍は英語で何という?

 

征夷大将軍: Commander-in-Chief of the Expeditionary Force Against the Barbarians

 

 

征夷大将軍とは英訳のとおり「異民族を征討する遠征軍の総司令官」という意味です。

 

 

古代中国には「華夷思想 かいしそう」といって、中国のみが文明の地であり、その周辺に住む部族は動物レベルの文化しか持たないという考え、「いずれ中国の偉大なる文化を周辺国へも広めることが正しい」という思想がありました。

 

そして、中国周辺の四方の民族を「東夷 とうい」「西戎 せいじゅう」「南蛮 なんばん」「北荻 ほくてき」という「蔑称」で呼びます。

 

 

古代日本の記録が「後漢書東夷伝 ごかんじょとういでん」に書かれているのはこういう理由です。

 

邪馬台国の弥呼のように「感じの悪い漢字」を当てられているのも理由があります。 

 

 

 

この「華夷思想」は遣唐使などで日本にも入ってきます。

 

日本版華夷思想では、天皇の住む京都を中心とした「近畿」は「王者の住む土地」という意味になり、一方で、東日本を「東夷 あずまえびす」の住む土地とし、大和朝廷の支配下にあるべきとされます。

 

そして大和朝廷による東日本に住んでいた蝦夷(えみし)を征圧するため「征夷大将軍」がつくられました。

 

 

その後、源頼朝から武家のトップとして称号となり、徳川まで引き継がれます。

 

軍司令官の称号がリーダーのタイトルへと変わる経緯は、ローマ帝国のエンペラー(皇帝)とよく似ています。

 

詳しく知りたい方は「英語のエンペラーとキングの違い」をご覧ください。

 

 

ちなみに「将軍」が引退すると「大御所」とよばれます。

 

そもそも「御所」とは「天皇などの高貴な人物の住居」を表す言葉です。

 

これは北条氏が執権として鎌倉幕府の実権を握っていた時代では、天皇家から迎えた親王を将軍にたてていたことに由来します。

 

 

 

魔王は英語で何という?

 

秀吉、家康には公式な称号で非常に有名なものがあります。

 

しかし織田信長はいろいろな官位を朝廷や幕府からもらっていたものの、一番有名なものは通称である「戦国の魔王 Demon King」ではないでしょうか。

 

信長自身も手紙の中で「第六天魔王」と書いているようですので、ゲームやマンガといったポップカルチャーの影響だけで「魔王」と呼ばれたわけではなさそうです。

 

 

 

名古屋城 英語版・日本語・台湾語・中国語版のパンフレット

名古屋城本丸御殿 英語版・日本語・台湾語・中国語版のパンフレット

名古屋城&本丸御殿 英訳と和訳の説明・解説

藩士: retainer

 

retainer は家臣や家来といった意味で、長期にわたって主君や主家に使える人物を表します。

 

 

大名: feudal lord

 

feud は封土(ほうど)といって、領主 lord から与えらる土地のことです。封土に基づいた主従関係を封建制(ほうけんせい)は feudalism といいます。

 

 

禄(石高): stipend

 

stipend が income や salary と違うポイントは労働や仕事の対価としての収入ではなく、聖職者や公務員に支払われる固定給のことです。もともと「禄 ろく」は平安時代の官吏に支払われるもので、そこから武士の給与を意味するようになりました。

 

 

兵器や弾薬: arms and ammunition

 

arm は腕という意味ではゲルマン語系の earm が語源となる言葉ですが、武器という意味ではラテン語 armare からフランス語に入った言葉 armer が語源です。また ammunition の短縮形で ammo とも言います。

 

 

天守閣: castle donjon / main castle tower

 

どちらの表現も使われていました。翻訳の依頼先が別々なのでしょうが、統一したほうが良いと思います。読んでいる側からすれば「なぜ違う言葉がつかわれているのか?日本語では別物扱いなのか?」と思ってしまうでしょうね。

 

 

石垣: stone wall

 

 

柱: column

 

記事のコラムも同じ語源で「縦に並ぶもの」というイメージです。

 

 

桁: beam

 

 

長押(なげし): crossbeam

 

柱を水平につなぐものです。

 

 

黒漆: black lacquer

 

 

金箔: gold leaf

 

 

障壁画: screen painting

 

 

釘隠し:nailhead cover

 

 

襖(ふすま): sliding screen

 

 

車寄せ: carriage entrance

 

 

大廊下: grand corridor

 

 

下御膳所: serving preparation room