お寺にお参りして英語を学ぼう(高野山・壇上伽藍)

日本を学べる英語の表現

高野山に行って参りました。今回は空海さんが最初に修行道場として築かれた壇上伽藍のご紹介です。

伽藍とは「僧が集まる清浄な場所」の意味で、寺院にある主要な建築物の集まりのことを表します。

この壇上伽藍は高野山創建時の雰囲気が強く感じられ、歩いているだけで心が澄んでいくような気持ちになります。

さらに空海さんが真言密教の力で日本の国と人々を守るために、まず切り開かれた最初の地と思うとさらに感慨深いものがあります。

真言密教は即身成仏をめざす

空海さんの人生というのはあまりにも有名かつ伝説的なエピソードに満ち溢れていて、日本史上でも1,2を争う天才的な人物だと思われます。

その天才たる空海さんが唐で学んで日本に持ち帰ってきた仏教は「真言密教」とよばれるものです。

これはインドのヒンドゥー教の影響を受けた仏教で、なによりも「即身成仏 そくしんじょうぶつ」が一番重要な部分になります。

当時の仏教では、悟りを開いて仏さまになるまで、何度も生まれ変わって厳しい修行を積まないといけないとされていました。

真言密教と出会った空海さんは、今すぐにでも人々を救うために、自らが生きながら仏となる(即身成仏)ことをめざされます。 

そして真言密教を極めて、高野山で入定(永遠の禅定にはいること)され、人々の平穏を祈っておられます。 

これが空海さんは今も生きている、といわれる理由です。

空海さんに誰もが惹かれた

しかし、なによりも空海さんの生き方で私がこころを打たれるのは、天皇や貴族、最澄さんのような当時の社会でのトップ層からの崇敬を受けながらも、常に一番弱い立場の人たちを救うことも同時に実行していらっしゃることです。

空海さんは権力の中枢である京の都に「教王護国寺(東寺)」を建てています。

一方で信仰のために険しくも豊かな自然に抱かれた「高野山」という一見、まったく違う方向性をもつ信仰の拠点を開かれています。

あらゆる方向へ視野を向け、あらゆる方向へ行動力を発揮する。

一直線につっぱしるタイプの偉人はたくさんいるのですが、全方位的に圧倒的なパフォーマンスを発揮する天才はなかなかいません。

日本には南方熊楠という空海さん並みに多岐にわたる天才的な才能を発揮した超人はいますが、空海さんは熊楠になかった政治力やパフォーマンス力も超一流です。

日本流で日本を守る

信仰の拠点とした高野山は、日本古来のその土地の神様である「丹生明神」と「狩場明神」に敬意を払い、サポートを受けながら信仰の基盤を築きます。

高野山は世界遺産に登録されていますが、その二柱の神が祀られている「丹生都比売神社 にうつひめじんじゃ」も一緒に登録されています。

いまでも高野山の僧侶が神社へと出向きで護摩を焚いたりするそうです。

信仰の枠組みを超えて協力する姿勢は日本流ですし、それが世界的に見ても後世に伝えていくべき遺産なのでしょう。

人々を救うため天賦の才

空海さんの心の中には、世界の中のあらゆるものの助けを借りて、日本を、そして世界そのものを救おうという壮大なスケールの思いがあったのでしょうか。

日本のものとか、仏教とか、そんな枠組みですらなかったんでしょうか。

神様、仏様、天皇、貴族、僧侶、衆生のオールスターで世界を救う、人々を救う、そしてその中心的役割は世界の本質である大日如来さんと空海さん自身である、という使命感だったのでしょうか。 

「誰が強いのか?」の発想では天才タイプの人物は「俺が一番強いから偉いんだ!」と思ってしまいがちなのかもしれません。

ナポレオンや信長は、まぎれもなく天才タイプですが、自己の神格化・権威化をすすめるタイプだったと思います。

一方、空海さんのこの謙虚とも思える姿勢は「人間を相手にする」発想ではなく「世界の本質と向き合う」発想が常にあったからこそ生まれたのかもしれません。

虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、わが願いも尽きなむ

(世界がなくなり、人々もいなくなり、悟りもなにもなくなってしまうまで、私の願いはつきません)

弘法大師空海

誰もが天才と呼ぶような方が、こんなにも人々のことを考えておられるのだから、私も微力ながらすこしでも大きなスケールで人々の役に立てるような心構えでいたいと思います。

高野山 壇上伽藍に関連する英語表現

壇上伽藍: Danjo Garan  

「monastic complex 修道院的な複合施設」と注釈がありわかりやすいです。この壇上伽藍は密教の教えにおいて現実・実践をあらわす「胎蔵界曼荼羅 Womb World Realm」とされています。

大日如来: Mahavairoca Buddha 

東大寺の大仏様である「毘盧遮那(びるしゃな)仏」と同じ仏様で世界の根本原理を表す仏様とのことです。一神教の「絶対神」のようなイメージがしますが、ほかにもたくさん仏様がいらっしゃるので「唯一無二の偉大な存在」という感じはしません。

空海さんご自身も仏様になられていますが、仏教にはエース的な仏さまはいらっしゃいますが、あくまで個性を活かしたチームワークで人々を救う教えです。

(日本古来の)神: Shinto deity

キリスト教などの「God 絶対神」と混同しないようにという明確な意図のある訳です。

「deity」には「絶対神」「唯一無二の創造者」などのイメージはないようですが、「超人的な力をもつ存在」という意味の強い言葉のようです。ギリシャ神話やインドの神は deity がしっくりくるような感じではないでしょうか。

日本の神については実際に Kami の英訳も時々見かけますし、「禅 Zen」にできて「神 Kami」にできないってことはないでしょう。

高野山創建: the founding of Koyasan  

found は「find-found-found 見つける」もありますが、「found-founded-founded 建てる」もあります。「ファンデーション foundation」は(その上に何かを建てるための)基礎という意味です。

四天王: four Guardian Kings  

東西南北の4つの守護神。持国天(東)、広目天(西)、増長天(南)、多聞天(北)のことです。多聞天は四天王のひとつとしてではなく、単独で祀られるときは毘沙門天と呼ばれます。

大門: Great Gate

高野山の西の端にあるため夕日が落ちていく光景がとてもきれいです。

金堂: main hall 

ご本尊を安置する建物のことですが、一般的に奈良や平安期に渡来した宗派などの寺院の場合に「金堂」とよくいわれるそうです。ほかには「本堂」「中堂」「仏殿」などがあるそうですが、英語だとどれも main hall にならざるをえないですよね。

根本大塔: great fundamental pagoda  

「pagoda」の言葉自体はなんと英語で、元はポルトガル語が直接の語源のようです。

もちろん元は古代インドのサンスクリット語(梵語)で仏塔を意味する「ストゥーパ」です。その「ストゥーパ」が中国に入りそこから日本に伝わった形が「卒塔婆(そとば)」です。

御影堂: Miedo (Great Portrait Hall)  

空海さんの御姿を祀っているお堂です。読み方は「みえどう」なのですが、浄土真宗・西本願寺では「ごえいどう」と読みます。浄土真宗なので親鸞さんのお姿を祀っていますね。

奥の院: Okunoin  

壇上伽藍とは別の場所に会って高野山でも一番神聖な弘法大師の御廟(Mausoleum of Kobo Daishi)があるところです。ここは金剛界曼荼羅(Diamond Realm World)をあらわします。

立体曼荼羅(りったいまんだら): three-dimensional mandala  

立体曼荼羅というと京都の東寺(教王護国寺)のものが有名です。

そもそも曼荼羅(まんだら)とはサンスクリット語が語源で「丸い」という意味から派生して「円満・完全なもの」となることから「仏様の教えの本質」を意味するようです。

空海さんはこの難しい教えを「一目見てわかる」ようにするために、立体曼荼羅を日本に導入されました。

三鈷杵(さんこしょ): three-pointed vajra  

vajra はヒンドゥー教の神であるインドラの武器で雷を起こす力をもっています。インドラは仏教に取り込まれて「帝釈天 たいしゃくてん」と呼ばれています。「〇〇天」はヒンドゥー教由来の神様であることが多いです。

三鈷杵は突起が3つあるのでそう呼ばれていて、5つあるものは五鈷杵(ごこしょ)です。それらを総じて「金剛杵 こんごうしょ」と呼びます。

サンスクリット語の vajra には「雷」と「金剛(ダイヤモンド)」の両方の意味があります。

実は後醍醐天皇は有名な肖像画の中でこの三鈷杵を持っています。その姿は空海さんそっくりです。

空海さんは嵯峨天皇からの崇敬と全面的サポートを受けていましたが、時代が下っても空海さんのカリスマ度はいささかも衰えないようです。

六角経蔵:hexagonal-shaped sutra repository

たくさんのお経を納めてある回転式の構造物です。

チベットには摩尼車(マニぐるま)といって、回すことでお経を読み切ったのと同じ功徳が得られるというものがあり、これも同じ考え方のようです。

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