お寺にお参りして英語を学ぼう(京都・南禅寺)

日本を学べる英語の表現

京都・東山にある南禅寺さんに行ってまいりました。

南禅寺さんは日本で初めて天皇の願いで建てられた禅寺で臨済宗の寺格を示す五山制度でも別格で上に位置する格式あるお寺です。

また私にとっては京都そして日本人の根底に流れる精神にすこし触れるきっかけになったところであり、何度訪れてもまた来たくなるお寺です。

水路閣に見る日本精神

南禅寺さんには水路閣(Suirokaku waterway)という一見、禅宗寺院とは無縁に思えるレンガ造りの西洋風の水道橋があります。

これは明治時代に作られた琵琶湖から京都市内へと引かれた水路(琵琶湖疎水)で、蹴上にある水力発電所にもひかれています。

近代化の必要性から生まれたものですが、時代を経て、全く違和感なく禅寺の空気に取り込まれています。

琵琶湖疎水という名から水路閣といつの日か呼ばれるようになったのも南禅寺さんの境内の一部になったと多くの人が感じたからではないでしょうか。

日本的とは何か?

アメリカ留学から帰ってきてから「ずっと日本人らしさ、日本的と呼べるものはなにか?」と考え続けてきました。

ときに歴史あるものを壊して欧米かぶれなものを平然とつくり、街並みを雑然とさせてしまう日本人に違和感を感じてきました。

しかし南禅寺さんの水路閣にはそんな雑然とした雰囲気はありません。

「異質」であるはずの西洋式の建造物が、全身で感じる感覚ではまったく違和感なく「日本」として美しく調和しています。

この感覚の理由を探していた時、「京都には海外から入ってきたものを取り込んで、自分のものにしていく力が働いているんだ!!」と気づきました。

そしてそれは京都に限らず日本の精神なのかもしれないです。

和魂〇才

歴史を振り返ってみれば、東寺の立体曼荼羅も空海さんが日本に持ってきたときはものすごく「異質」なものだったでしょう。

禅も中国から学んだもの。

そもそも仏教や儒教も道教(陰陽道)も外国から学んだもの。

異文化から入ってきたものと日本が大切にしてきたものを融合し調和させるのが日本の精神。

抹茶パフェもチョコバナナ八つ橋も、明太子スパゲティも日本のゲームもマンガもなにもかもそう考えてみればすっきりします。

平安時代においては、大国である中国から学びそして自立しようとする「和魂漢才」がテーマであり、西洋列強に立ち向かう明治時代においては「和魂洋才」でした。

そして平安・明治だけでなく日本文明の歴史をつらぬくテーマは「和魂〇才」だったのだと全身の感覚で理解しました。

その精神をぶれずに守り続けてきたのが京都という日本文化の中心地なのでしょう。

南禅寺さんの御朱印帳 Temple Seal Book

南禅寺さんで頂いた御朱印帳には英語で表紙がかかれています。

  • Tiger Drinking Water
  • Treasures of Great Zen Temple, The Nanzenji

まったく英語かぶれっぽい違和感なくカッコよく見えます。

中国との交流・貿易の中心的役割を担ってきたのは禅僧であることを考えると「禅 Zen」を日本に限定すること自体がそもそもおかしいのかもしれません。

せっかくいろんな文化で個性的なものが生み出されてきたのですから、それらを日本的な方向でさらに活きるものとなる気がします。

国宝・方丈庭園 Hojo Garden

南禅寺さんには江戸時代の作庭家、小堀遠州の作と伝わる国宝の方丈庭園(Hojo Garden)があります。

別名「虎の児渡しの庭 young tigers crossing the water」と呼ばれています。

なぜ「虎の子渡し」と呼ばれているかには理由があります。

中国の故事で「統治者が良い政治をすると(動物を襲って食べている)虎は自分たちが悪いことをしていると思って他の土地へ逃げる」というものがあります。

これは「統治者の徳」が世の中に影響をあたえるという中国の天命思想も関連していて「江戸時代の徳川幕府の政治がうまくいっている」ということを表す庭とされています。

南禅寺に関連する英語表現

臨済宗南禅寺派大本山: the head temple of the Rinzaishu-Nanzenji school

紅葉で有名な禅林寺(通称は永観堂)の南にあったことから南禅寺となった、もしくは南宋の禅がもとになっているからなど寺名の由来は諸説あります。

ちなみに禅林寺さんはもともと真言宗でそのあと浄土宗に変わったお寺で「禅」といっても臨済禅とは直接の関係はないみたいですね。

京都五山: Five Great Zen Temples in Kyoto  

臨済宗のお寺には「京都五山」「鎌倉五山」といって特別な格を持っているお寺があります。

京都五山は「天龍寺 相国寺 建仁寺 東福寺 万寿寺」そして鎌倉五山は「建長寺 円覚寺 寿福寺 浄智寺 浄妙寺」です。さすがに歴史の超有名人とかかわりのあるお寺が多いですね。

「五山之上」に列せられた: ranked above the Five Great Zen Temples  

南禅寺はこの「鎌倉・京都の五山」より上の「別格」になっているお寺です。

五山も時代によって権力者の意向で入れ替わりがありました。今のランキングは足利義満が自分の建てた寺である「相国寺」を2番目に入れたため「南禅寺」が繰り上がりで「別格」になりました。

そうなると、なぜ2番で「南禅寺 ⇒ 天龍寺 ⇒ 相国寺」の順なのかという疑問がわいてきます。勝手な推測ですが義満の思いは「南禅寺は天皇の勅願寺なので畏れ多い、天龍寺はお祖父さん(足利尊氏)が後醍醐天皇の菩提を弔うために建てたとなるとこれもムリ、となるとその次が妥当か・・・」といったところではないでしょうか。

法皇: monk-emperor  

天皇が引退して「上皇」、上皇が出家して「法皇」です。

「法王」は仏教用語での宗教リーダーを意味し、チベット仏教のトップであるダライ・ラマ法王のように使います。

開山(した僧): first chief priest

禅宗では最初に寺を開いた僧侶を「開山」とよび、そしてその寺を開くのに資金援助を行った人物を「開基」とよんで区別しています。

開基(した人物): founder  

foundは「建てる」という意味の動詞ですが、find(見つける)の過去形も found です。

三門: Main Gate
法堂(はっとう): Ceremony Hall  

禅寺と言えば天井の龍ですが、こちらにもあります。

方丈: living quarters for a master priest
書院: Zen study  

studyは書斎の意味もあります。

襖絵(ふすまえ): slide-door paintings
庫裏(くり): Living Quarters
勅使門: gate for the Emperor’s messenger
御所: Imperial Palace
本尊: main Buddha  

南禅寺さんのご本尊は聖観音菩薩さまです。

聖観音菩薩: Sei Kanzeon Bosatsu (Goddess of Mercy)  

観音様は Goddess of Mercy とされている英訳をときどきみます。観音様は女性ではないのですが女性の姿で現れたり、「子を見守る母」のような慈悲の仏様との解釈から Goddess となったのでしょうか。

インド時代の仏教には「女性は悟りを開けない」とされていたりもしました。しかし日本では女性だけでなく、あらゆる存在に仏の本質が宿っているという教えに変わっていきます。

浄土真宗(明治以前の呼称は一向宗)を開いた親鸞さんは女性の姿で現れた観音様と出会っています。

座禅: Zazen (sitting in religious meditation)  

Zen も英語になっているので、Zazen もそのまま英語になってますね。

雲水(うんすい): Trainee monk  

雲や水のように一か所に留まらずに、各地をめぐり修行することから、修行僧のことを「雲水」と呼ぶようになりました。

塔頭(たっちゅう): sub-temples  

本来は「師を偲んで建てる塔」だったのですが、それが規模が大きくなって「塔頭寺院」として大寺院に隣接する寺を意味するようにもなりました。

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