高野山 金剛峯寺 Koyasan Kongobu-ji Temple
天川村キャンプの帰りに高野山・金剛峯寺に寄ってきました。
高野山は弘法大師・空海さんの開かれた真言密教の聖地としてあまりにも有名ですね。
高野山は非常に外国人観光客も多く、聖地でありながら世界とのつながりを強く感じることのできるオープンな空間でもあります。
そんな「グローバルな」高野山ですが、空海さんの教えの中心ともいえる肝心の真言密教がわかりにくいです。なかなか難解で深淵なものなので、僭越ながらわかる範囲で解説をのせています。
密教と禅の教えは同じ仏教でもアプローチがかなり異なった教えなので、そうなった経緯をしらべていくととても興味深いです。
★ブログの最後に金剛峯寺さん関連の英訳の紹介をのせています★
密教とは?
まず密教(みっきょう)とはヒンドゥー教の影響をうけたその名の通り神秘主義的な仏教のことで、顕教(けんきょう:明らかに説かれた教え)と対比されて使われます。
英語では Tantric Buddhism や Esoteric Buddhism などいろいろな言い方があります
真言密教の世界は金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅(両方合わせて両界曼荼羅)によって表されます。
金剛界(Diamond Realm)とは理論・精神面をあらわします。
そして胎蔵界(Womb Realm)は実践・現実世界をあらわすとされています。
そして高野山自体が両界曼荼羅(Mandala of The Two Realms)とされています。
密教の教えはダイヤモンド
ちなみに金剛とはダイヤモンド(金剛石)のことで、密教の本質をあらわす言葉でもあります。
サンスクリット語では「 vajra ヴァジュラ」といい、「雷」と「ダイヤモンド」の両方を表す言葉です。
サンスクリット語では密教のことを Vajrayama といい、英語で直訳すると Diamond Vehicle や Thunderbolt Vehicle となります。
もともとヒンドゥー教の神であったインドラは密教では帝釈天とよばれますが、インドラの武器は vajra といって雷を自在に操るものです。
これは密教で法具とされ「金剛杵 こんごうしょ」と呼ばれています。
真言宗のお寺に行けば、よく置いてあります。
金剛峯寺は禅のお寺?!
聖域である高野山には大きく分けて3つの領域があります。
① 金剛峯寺
② 壇上伽藍
③ 奥の院
金剛峯寺というと明治以前は高野山のお寺全体を指していたましたが、今は一つのお寺を指しています。
学校では「空海 真言宗 高野山金剛峯寺」と習ったので、まさしく真言宗のお寺との認識でした。
「龍 dragon」「石庭 rock garden」「火灯窓 fire lit window」など「禅寺」と呼べる特徴をもっています。
さらに真言宗のお寺にありがちな、いい意味でのパワフルなごった煮感がなく、禅寺のようなすっきりと澄み渡る雰囲気がありました。
それもそのはず、この金剛峯寺の建物自体はもともと豊臣秀吉が母親の菩提を弔うためにたてて、その後江戸時代に再建されたものとのこと。
さすが戦国期(warring states period)の人物が建てているせいか武家の特徴である書院造で作られているため「禅寺 zen temple」の雰囲気を持っていたんですね。
もし平安時代に立てられていたならば、もうすこし違った雰囲気になっていたかもしれません。
奥の院 Okuno-in
一方で、奥の院に向かうまでの参道には戦国武将(warlords)はもとより歴史の有名人や庶民の墓まで様々な人々が眠っている共同墓地(cemetery)があります。
ここには奥の院もふくめて様々な存在を大きなスケールで包み込む「まさしくこれぞ真言宗」という雰囲気があらゆるものから感じられます。
高野山にはほかにもいろんなお寺があるのでそれぞれの歴史、雰囲気などしっかり見て回りたいものです。
高野山・金剛峯寺 英語版・日本語版のパンフレット
高野山・金剛峯寺 英訳と和訳の説明・解説
真言宗: Shingon Buddhism
密教と言う意味では「Tantric Buddhism タントラ仏教」ともいいます。タントラは「織物を織る横糸」の意で、スートラがお経で「縦糸」、肝心の真言はマントラ(真実の言葉)です。
密教はヒンドゥー教の影響をうけた仏教なので、サンスクリット語がたくさんでてきて混乱します。。。
総本山: headquarters temple
「本山」っていろんな言い方があります。ちなみに headquarter は「本部を置く」という動詞です。headquartersは「本部」という意味の名詞ですので "s" があっても間違いではありません。
御廟(ごびょう): mausoleum
空海さんがおられる「奥の院 Okunoin」のことです。
語源は古代の世界七不思議 Seven Wonders of the Ancient World のひとつに「Tomb of Mausolus マウソロス霊廟」があり、この王様の名前から来ています。英語では、ほかに地名を取って「The Mausoleum at Halicarnassus ハリカルナッソスの霊廟」と言うようですね。
永遠の禅定(えいえんのぜんじょう): eternal meditation
禅定は meditation(瞑想)とは違う内容でしょうけど、英語に適切な言葉がないので仕方ないですね。英語の直訳だけでは仏教は勉強できないということです。永遠の禅定にはいることを「入定」といいます。
中国の唐王朝: Tang Dynasty China
空海さんが中国に渡った時の中国の王朝が唐でした。その時に、鬼と宴をしていたようです。
朝廷: Imperial Court
日本語や中国語で「朝」という字をつかうのは、宮廷に朝、官僚が集まって会議をする、ということから来ているそうです。
いまでも中国人は政府のことを「天朝」って呼んでますよね。日本でも明治ぐらいまで朝廷を天朝と呼んでいたようです。
仏教の経典: Buddhist sutra
お経を意味する sutra もサンスクリット語でもともとは「教理を書いたものをまとめる縦糸」の意味です。法華経は Lotus Sutra そして、金剛一切経は Diamond Sutra です。
根本大塔(こんぽんだいとう) / Great Stupa
stupa もサンスクリット語。日本語では卒塔婆(そとば)に転じていますね。
金堂(こんどう) / Main Hall (Golden Hall)
鐘楼(しょうろう)/ Bell Tower
経蔵(きょうぞう) / Scripture Repository
scripture とは「書かれたもの」の意で、キリスト教の文脈ではもちろん「聖書」のことを意味します。
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