· 

英語小論文を論理的にする「根拠」の作り方(英語うんちく No.025)

英語に限らず、小論文英作文をする際には「論理的」であることが求められます。

 

もちろん「議論 discussion」や「討論 debate」でも論理的なことは必要不可欠です。

 

 

 

しかし英語と日本語の小論文では書き方が大きく違います

 

 

その第一歩として「英語小論文のシンプルな書き方」を解説いたしました。

 

自由英作文にも使える!英語小論文のシンプルな書き方(英語うんちく No.024)

 

 

 

  

そして今回、小論文の中心部分である「根拠」を掘り下げていきます。

  

 

 「根拠」とはカンタンにいうと「理由」のことです。

 

 

まずは、この「根拠」に関して英語で知っておくと便利な表現がありますので紹介します。

 

 

 

根拠って英語でなんていうの?

 

日本語でいう「根拠」の英語訳を調べるといろいろ出てきます。

 

 

・evidence(証拠)

 

・reason(理由)

 

・basis(基礎)

 

・ground(土台)

 

 

 

代表的なものはこれらでしょうか。

 

 

ですが、実は「論理的な文章における根拠」というぴったりの意味を持つ英単語があります。

 

 

その英単語を "rationale" といいます。

 

 

 

Weblio 英和辞典による意味だと「理論的解釈」「理論的根拠」と載っていました。

 

 

しかし Oxford Dictionary の説明だともう少し踏み込んだ理解ができます。

 

 

"a set of reasons or a logical basis for a course of action or belief."

 

 

つまり「自らの行いや信じることなどの正当性を主張をする際のまとまった理由や論理性の基盤になるもの」と理解することができます。

 

 

 

先ほど列挙したように evidence / reason / basis / ground は「根拠」以外の意味でもよく使います。

 

 

論理に関係なく evidence は「物的証拠」も意味します。

 

実際、形容詞の evident は「誰の目にも明白だ」という意味ですから、論理は必ずしも必要ではありません。

 

 

また reason は「理性(的に考える力)」や「道理をもって説得する」という意味でも使います。

 

 

ですので「論理的根拠」と意味をピンポイントで示したいときに rationale は便利です。

 

 

 

論理的な根拠に必要なのは valid であること

  

さて、「論理展開における根拠」の中身に話をもどします。

 

 

どんな主張をするのであれ、根拠があれば論理的です。

 

 

ですが、その根拠も何でもいいわけではありません。

 

 

 

根拠は「主張を裏付けるのに十分なもの」である必要があります。

 

 

どんな主張をしても結構ですが、どこかで矛盾が生じては意味がありません。

 

 

 

例えば、高速道路の自動車の速度のデータだけを根拠に「日本では時速100kmで公道を走行してよい」などと結論してはいけません。

 

 

都合よく一部分だけを切り取った根拠では主張をサポートできません。

 

  

根拠は「自分の主張を矛盾なく説明する」必要があります。

 

 

つまり「誰に何を言われても、納得いく説明ができるもの」である必要があります。

 

これを英語で valid(妥当性がある)といいます。

  

  

参考に Oxford Dictionary から valid の意味を引用します。

 

 

"(of an argument or point) having a sound basis in logic or fact; reasonable or cogent."

 

  

また Weblio 英和辞典だと valid の1つ目の意味はこうなっています。

 

 

"1〈議論・理由など〉根拠の確実な,確かな,正当な,妥当な"

 

 

 

このように valid とは「論理の根拠が十分なものである」という意味に軸が置かれた言葉です。

 

 

自分の主張することに対して「あんたのいうことは筋が通っとる!」と理解してもらえたら大丈夫です。

 

 

なんだか難しそうですが、ご心配には及びません。

 

大切なことはシンプルです。

 

 

・どんな主張であれ、根拠があれば論理的です。

 

・根拠が valid(妥当)であれば、その主張は有効だと認められます。

 

・validity(妥当性)とは「矛盾を生じない説明が可能」ということです。

 

 

ここは必要条件として押さえておきましょう。

 

 

  

小論文の場合は相手はいませんが、議論や討論になると目の前に相手がいます。

 

周りに自分の意見をしっかりと聞いている人たちがいます。

 

 

そうなると「ワガママな主張」で醜態をさらすわけにはいきません。

 

 

むしろ自分の「論理的思考」の力量を試すチャンスです!

 

もしくは齟齬を指摘してもらえたら成長するチャンスです! 

 

 

どちらに転んでもプラスにしかなりません!

 

 

とはいえ、いきなり挑戦するのは不安だと思います。

 

ご心配なく、論理的思考にはパターンがあります。

 

 

 

論文とは決まった形式で主張と根拠を提示するもの

 

論文とは「主張を論理的に述べる文」のことです。

 

そして、実際に論文を書くときは、つぎの2つが大切になります。

 

 

・論理的に理解できる形式にする

 

・主張を支える論理的根拠を提示する

 

 

 

まず1つ目ですが、これは冒頭でも述べた内容と同じです。

 

英語の小論文のかたちは決まっているので、ネットで調べればすぐにわかります。

 

 

こちらのブログでも紹介していますので、知りたい方がご覧ください。

 

自由英作文にも使える!英語小論文のシンプルな書き方(英語うんちく No.024)

 

 

 

そして2つ目が今回のテーマである「論理的根拠」です。

 

 

論理的根拠はそれぞれが独立しているものではなく、いろいろ組み合わせて根拠を強化します。

 

これらの根拠が valid であれば、矛盾なく説明できるので、結果として「主張が正しい」とされることになります。

 

 

 

議論や討論だと「論破」が目的だと勘違いしている人も多くいますが、そんなことはどうでもいいんです。

 

 

議論、討論、論文でもなんでも、論理性で重要なのは勝敗ではなく「防衛戦」を成功させることです。

 

シンプルに「自分の主張を守り切れば、それでよい」のです。

 

 

相手が正しいかどうかより「こちらの主張が妥当」であれば相手は関係ありません。

 

 

では、その防衛戦を共に戦ってくれる頼もしい豪傑たち(論理的根拠)を味方に引き入れていきましょう。

 

 

 

いろいろな論理的根拠を学ぼう

 

"Nature is the source of all true knowledge. She has her own logic, her own laws, she has no effect without cause nor invention without necessity.

 

- Leonardo da Vinci

 

 

 

自分の主張を成立させるために、なにかしら妥当性のある論理的根拠が必要になります。

  

 

それらの代表的なものが以下になります。

 

 

・推論(演繹法、帰納法、仮説形成)

 

・具体例

 

・事実

 

・統計

 

・類推

 

・論駁(ろんばく)

 

 

 

小論文などに「根拠」を書くときは、これらのうちいくつかを組み合わせて使うことになります。

 

それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

 

 

 

推論 Reasoning

 

"Reason is not automatic. Those who deny it cannot be conquered by it. Do not count on them. Leave them alone.”

 

- Ayn Rand

 

 

 

論理的根拠として最も一般的なものに「推論 reasoning」があります。

 

一般的に「推理」や「論理展開」そして「論理的思考」と呼ばれるものはほぼこれです。

 

 

「どうしてそう言えるのか?」

 

「なぜそれが正しいと判断できるのか?」

 

 

といった疑問に対して、回答を導く手段が推論です。

 

 

 

また推論には inference という訳があてられることもあります。

 

これは「前提から結論」へとつながる過程のことです。

 

 

つまり reasoning に含まれるひとつの過程として inference があると考えてください。

 

 

 

そして「推論」には以下の3つのパターンに分かれます。

 

 

・演繹(deduction / deductive reasoning)

 

・帰納(induction / inductive reasoning)

 

・仮説形成(abduction / hypothesis)

 

 

 

これらは「結果 Result」「法則 Rule」「事例 Case」の組み合わせ方によって決まります。

 

それでは実際にみていきましょう。

 

 

 

推論① 演繹法 Deduction

 

"It is simple deduction, my dear Watson."

  

- Sherlock Holmes

 

 

 

まずは「演繹 Deduction」の意味を、英語版と日本語版の Wikipedia をつかってみていきましょう。

 

 

"Deductive reasoning, also deductive logic, is the process of reasoning from one or more statements (premises) to reach a logical conclusion."

 

「演繹(えんえき、英: deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である。」

 

 

 

すこし小難しいですが、カンタンにいうとこうなります。

 

 

★ある「法則」に当てはまる「事例」をあげて「結果」を導く

 

 

(法則) Rule:このグループのものは全部Aやで。

 

(事例)Case:そのグループ中から実際にサンプル選んでみた。

 

(結果)Result:そういうことで、当然サンプルはAになる。

 

 

 

では、例をみていきましょう。

 

 

(法則)イギリス連邦の統治下にあった国では、イギリスのスポーツであるクリケットが人気がある。

 

(事例)インド、パキスタン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドはイギリス連邦の統治下にあった。

 

(結果)そういうことならば、これらの国ではクリケットが人気スポーツであるだろう。

 

 

 

演繹法は「一般論」や「法則」そして「世界共通の認識」など、広く知られている事柄を利用して、自分のテーマに応用できます。

 

 

つまり普段から「世の中のことを広く知るようにする」ことが、演繹法を身に着ける重要なステップになります。

 

 

 

ちなみに deduction という英単語には「控除」という意味もあります。

 

全体から一部を引き出す」という意味があるからです。

 

 

ここで注意なのが、動詞だとそれぞれ別の形になることです。

 

 

・deduce:演繹的に推論する

 

・deduct:控除する

 

 

ちょっとしたことですが、頭の片隅に置いておくだけでもプラスだと思います。

 

 

 

推論② 帰納法 Induction

 

「あらゆる戦術書を読み、万巻の戦史を読めば、諸原理、諸原則はおのずから引き出されてくる。みなが個々に自分の戦術をうちたてよ。戦術は借りものではいざという時に応用がきかない。」

 

(秋山 真之)

 

 

 

帰納 Induction

 

★いくつかの事例における結果をみて、それらに共通する法則を導く

 

 

(事例)Case:このグループからいろんなサンプルをとったで。

 

(結果)Result:そしたら、全部Aやったよ。

 

(法則)Rule:それやったら、そのグループものは全部Aのはずやね!

 

 

では、例をみていきましょう。

 

 

(事例)イギリス連邦の統治下にあった国を調べたら、インド、オーストラリア、ニュージーランドが見つかったよ!

 

(結果)これらの国では、イギリスのスポーツであるクリケットが人気である。

 

(法則)であれば、ほかのイギリス連邦の統治下の国であるオーストラリアや南アフリカなどでも、クリケットが人気スポーツであるはずだ。

 

 

 

帰納法は「現場主義」に近いものがあります。

 

ルールや法則、一般論も重要ですが、いろいろな経験が積みあがって生まれていく「自分独自の視点」も大切です。

 

 

「自分の足で歩いて、自分の目で見て確かめる!」

 

 

実際にこういうコツコツ努力を積み上げていくと、自分の中から「法則」が浮き上がってくることがあります。

 

世の中が何と言っていようと、自分の独自の説明で妥当性が見いだせるならそれでOKです!

 

 

 

推論③ 仮説形成 Abduction

 

"If you love someone, set them free. If they come back, they are yours; if they don't, they never were."

 

- Richard Back

 

 

 

仮説形成 Abduction (Hypothesis)

 

★ある結果から法則を仮定し、事例に当てはめる。

 

 

(結果)Result:いくつかサンプルみたら、なんと全部Aやん!

 

(法則)Rule:もし仮に、このグループのものが全部Aやとしたら・・・

 

(事例)Case:サンプルはそのグループからとったものやってなるね。

 

 

 

では、例をみていきましょう。

 

 

(結果)インド、パキスタン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドでは、クリケットが人気スポーツである。

 

(法則)もし仮に、イギリス連邦の統治下の国ではイギリスのスポーツであるクリケットが共通の人気スポーツであるとすると・・・。

 

(事例)インド、パキスタン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドはイギリス連邦の統治下にあった国々から選ばれたといえるであろう。

 

 

 

仮説形成が有効なパターンは「帰納法」と「演繹法」がうまくいかないときです。

 

 

あくまでも「仮説」が出てきた時点では、それが正しい保証はどこにもありません。

 

自分の全力を振り絞って「法則」を「仮定」します。

 

 

 

もっと極端な例を挙げます。

 

 

「日本のある中学校において、5教科のテストを行った結果、上位10%は全て女子生徒だった」という結果を見てみます。

 

ここで「この学校では女子生徒は圧倒的に優秀だ」と推論してもかまいません。

 

 

しかし、一般的に見れば、学力に於いて男女差はほぼ見られません。

 

なぜこんな偏ったデータになるのか?おかしい!

 

 

ここで仮説を立ててみます。

 

 

「この学校って女子校ではないのか?」

 

 

 

そう考えた場合、この学校が「女子校だと確認する」か「サンプル全体の性別をみる」ことで検証できます。

 

 

こういった「仮説」が正しいとなった場合「上位10%は女子生徒」という結果そのものが無意味になります。

 

なぜなら「どの範囲でサンプルをとっても女子生徒になる」からです。

 

 

(結果)成績上位10%は全員が女子生徒

 

(法則)ある中学校は女子校なので、全校生徒が女子生徒

 

(事例)全校生徒の中から5教科の成績上位10%が選ばれた

 

 

こうして全体が見えると、至極当然の話に見えます。

 

しかし勝手に「男子生徒が存在するはず」という固定概念を持つと全体像をとらえる際に障害となります。

 

 

仮説はうまく機能するとインパクトが大きいだけに「ひらめき勝負」なところはあります。

 

 

「太陽が地球の周りをまわっているのでなく、地球が太陽の周りをまわっている」

 

 

天動説が否定され、地動説が正しいとなると、地球が宇宙の中心する概念すべてが瓦解します。

 

 

一般論や常識を崩す「仮説」はそう簡単にはできません。

 

しかし「固定概念」をひっくりがえす「仮説」をいつも考えながら、物事と向き合う習慣は身に着けたいものです。

 

 

 

具体例 Examples

 

"It has been my experience that folks who have no vices have very few virtues."

 

- Abraham Lincoln

 

 

 

体験談事例など「具体例 example」をあげることで根拠にします。

 

実際にこうなってるもん」と言えるものは説得力が上がります。

 

 

英語だと文頭に for examplefor instance を置いて、具体例を提示することがよくあります。

 

 

でもそれでは、文字数稼げませんし、ワンパターンになりがちですよね?

 

こんなのはどうでしょう。

 

 

"What I personally experienced is that SV" 

 

「私が個人的に経験したのは(SVってこと)です。」

 

 

"The story I heard from (人の名前) is that SV"

 

「私が(人の名前)から聞いた話では(SVってこと)なんです。」

 

 

こういう表現も定型パターンで持っておくとよいと思います。

 

 

 

事実 facts

 

"The great tragedy of science - the slaying of a beautiful hypothesis by an ugly fact."

 

- Thomas Huxley

 

 

 

事実(fact)とは何か?

 

だれもが「実際に存在を認識できること」です。

 

 

(例)日本の最高峰は富士山である。

 

 

推論よりも具体性が高いので、事実が提示できれば、根拠は一気に強化されます。

 

 

しかし「事実」とはそんなに簡単ではありません。

 

 

富士山のように実際に物理的に存在している場合は、事実として提示しやすいです。

 

ただ宗教や感情のように物理的に認識しづらいものは要注意です。

 

 

哲学者のフリードリッヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche )はこう言っています。

 

 

"There are no facts, only interpretations."

 

「事実は存在しない、存在するのは解釈だけである。」

 

 

 

みんなが「事実であると信じて」いても、それが「事実である」という保証はありません。

 

 

いまだに宇宙がどれだけ広いのかわかっていません。

 

宇宙に存在するとされる物質の半分も正体がわかっていません。

 

 

世の中、まだまだ分からないことだらけなんです。

 

 

もうすでに起こった「歴史上の事実」でも同様です。

 

 

歴史書は当時の権力者の視点から書かれていたり、時代背景を色濃く反映しています。

 

歴史の教科書ですら新事実の発見でどんどん書き換えられていっています。

 

 

たとえ「今の事実」であっても「未来の事実」である保証はありません。

 

「事実」を提示するときは「みんなが事実と信じているが、まだ変化する可能性のあるもの」には留意する習慣をつけましょう。

 

 

 

さて英語で「事実」を表現するのはカンタンです。

 

 

動詞を "It is ~" や "they were ~" そして "he knew "のように 「現在形と過去形」で言い切ってしまえばいいです。

 

would や can など助動詞を使うと「推量」や「仮定法」といった「事実から離れる」というニュアンスが少なからず働きますので、それを使わなければ事実になります。

 

 

ほかにあえて「実際のところは~」とか「事実としては~」などを追加したい場合は以下の表現がつかえます。

 

 

・actually(実際には)

 

・in fact(事実上)

 

・The fact/reality is (that) SV ~ (事実/現実としては SV~ である)

 

 

このテーマとはすこし離れますが、あとはラテン語由来の表現で de facto「事実上の」という言い方を抑えておけばよいかと思います。

 

 

 

統計 Statistics

 

"According to statistics, a normal person has one breast and one testicle."

 

(a joke)

 

 

 

事実と同じく「統計 Statistics」も強力な武器になります。

 

データ数字をだすことで、客観性を持たせることができるからです。

 

 

「日本は高齢化社会である」

 

 

とはよく言われますが「ホンマかいな!?」と突っ込まれたときに困ります。

 

ここで「統計」を使ってみましょう。

 

 

データは「世界銀行 The World Bank」から拝借した、2019年の高齢者の全人口に占める割合の上位の国からのランキングです。

 

 

・Japan 28%

 

・Italy 23%

 

・Portugal 22%

 

・Finland 22%

 

・Greece 22%

 

・Germany 22%

 

・Bulgaria 21%

 

・Croatia 21%

 

・Malta 21%

 

 

(引用元:Population ages 65 and above (% of total population) - The World Bank

 

 

こういうデータがあれば「確かに日本は高齢化社会やな~、それも2019年時点で世界一の!」という見解を共有できるはずです。

 

 

統計データを導く際に、英語でよく使うフレーズはこんなものがあります。

 

 

・The statistics says ~

 

The study shows ~

 

 

もし「according to ~(~によれば)」がワンパターンになりがちなら、こういった別の表現を使って語調を変えましょう。

  

 

さて、統計には注意しなければならない点があります。

 

 

それは、恣意的にデータを抽出できることです。

 

公式なデータであっても都合よく編集されているかもしれません。

 

 

統計やデータは誰がどうやって持ってきたのか見えにくいものも多くあります。

 

  

統計やデータを出すのは必要なことです。

 

しかし、その統計やデータが導くものには留意が必要です。

 

 

それはこちらが根拠として使う場合も同様です。

 

然るべき立場の大学などの研究者ですら、データ改ざんや捏造を行います。 

 

 

周りがどうであれ、それぞれが可能な限り客観的にデータを扱うべきだとおもいます。

 

もちろん悪意のないミスや間違いもありますので、データを迅速に修正・訂正をするのは誠意の一つだと思います。

 

 

 

類推 Analogy

 

"It's like déjà vu all over again."

 

- Yogi Berra

 

 

 

類推(Analogy)」とは類似したケースをもちだすことで、自分の主張をより身近なのものとして説明する方法です。

 

 

それでは analogy を Oxford Dictionary で調べてみると・・・

 

 

"a comparison between one thing and another, typically for the purpose of explanation or clarification."

 

 

と、書かれています。

 

 

高校の英語でこんな表現を習いませんでしたか?

 

 

"A is to B what C is to D"

 

「A の B に対する関係は C の D に対する関係に等しい」

 

 

これこそまさに「類推」の代表例です。

 

似ているものを引き合いにだすことで、自分の主張をより身近な例を利用して説明することができます。

 

 

 

そして「比喩 metaphor」もこの類推の仲間に入れることができます。

 

ただ、類推は「2つの事柄の関係性を利用する」のに対し、比喩は「まるで~のように」といったように単独で使うことができます。

 

 

類推はデータや事実に比べると根拠として弱いのは否めません。

 

ですので、自分の主張の軸にするよりは「理解しやすいように説明する」ためにうまく使うとよいと思います。

 

 

 

論駁 Refutation

 

"We could never learn to be brave and patient, if there were only joy in the world."

 

- Helen Keller

 

 

 

日本では「論駁 ろんばく」ってあまり聞かない言葉ではないでしょうか?

 

論駁(refutation)とは「あえて自分とは逆の立場をとり、その不合理性を指摘する」です。

 

 

小論文だと、反対意見に対する牽制として使えるでしょう。

 

「~もいいけど、こんなネガティブな面が考えられます。なぜかというと・・・」

 

という感じで使えます。

 

 

しかし論駁の本領はディスカッションで発揮されます。

 

私見ですが、論駁はディスカッションにおいては最強武器といっても過言ではありません。

 

 

バランスを欠く極端な主張は、ほぼ論駁で制圧できます。

 

相手が自信満々に、居丈高に来る場合は、ぜひとも狙ってください!

 

 

では例として「極端な主張」をみていきましょう。

 

 

 

・「ウソをついてもよい」という主張がある

 

 

これに対する反論は「ウソをついてはいけない!」となりがちですよね? 

 

 

ここで論駁を発動させます!

 

 

相手の立場を肯定し「ウソをついてよい」を擁護しつつ、底なし沼に引き釣り込みましょう

 

 

 

・ウソをついていいと思います。 私もそう思います。

 

・だから、あなたも私も「ウソつき」ってことでいいですね?

 

・だた、そうなるとこの議論では「ウソをついてよい」という主張そのものがウソの可能性が生まれますね。

 

・根拠もウソの可能性がありますね?

 

・ウソかもしれない主張について、わざわざ本気で議論するってお互いのためになるんですかね?

 

・まあ、そもそもウソをついていいとするなら、誰に何を言っても信じてもらえないって話になりますけど・・・どうしましょう?

 

 

 

こうなってしまえば、相手は何を言っても反論できません。

 

「ウソをついてよい」という主張そのものが成り立たないからです。 

 

 

そうなればもう議論は一方的に切っても構いません。

 

 

・「ウソをついてはいけない」を擁護する必要はありません。

 

・「ウソをついてよい」を破綻させてしまえばよいのです。

 

 

それが結果的に「ウソをついてはいけない」を防衛することにつながります。

 

  

論理展開とは言葉遊びではありません。

 

論理展開とは妥当性のある根拠を組み合わせて主張を支える行為です。

  

 

主張そのものがウソなら議論を放棄してかまいません。

 

 

逆に考えると「ウソをついてよい」という主張を擁護する場合は困難を極めるといえるでしょう。

 

 

それゆえ不用意に反論するのは絶対に控えてください。

 

人格攻撃た暴言なんてもってのほかです。

 

 

 

論駁のテクニックをつかうのはもちろん論文・議論でなくてもかまいません。

 

企画の提案などでも使えます。

 

 

いつも自分の意見、相手の意見に関係なく「主張と根拠をつなぐ思考を組み立てる」という練習はしましょう。

 

 

ポイントとしてはとりあえず「賛成・反対は横に置く」ことが必要です。

 

つまり何の話であっても「あなたの言う通りだとすると・・・」と真剣に考えるということです。

 

 

前提(主張)の段階で否定してはダメです。

 

主張と根拠の関係性のつながりに集中してください。

 

 

 

相手の提案でうまくいきそうなら「ああ!そっちのほうがエエっすね!それで行きましょう!」になります。

 

 

相手の言い分に分がある場合「無理やり論破してやる!」という態度の人は、逆に危ないです。

 

 

だってケチのつけようがないものに、無理やりケチをつけるのです。

 

ケチをつける側の論理に無理が生じるのは自明の理です。

 

 

 

では、反論が有効と判断する場合はどうしましょうか?

 

攻撃できるからといって、居丈高に出るのは武士道でも騎士道でも褒められたことではないでしょう。

 

 

論文も議論もあくまでも「自分の主張の防衛戦」です。

 

そこで第3者的な立ち位置のつもりで「論理的に機能しない点」と「(自分の視点での)対案」を同時に提示します。

 

 

たとえば「ちょっとここのポイントがうまくいかへんと思うんですよ。どうしましょかね? まあ、ぼくやったら、~がエエかな?とおもうんですけど。」という具合です。

 

 

反対意見がある場合は、有効な対案を連続して出す癖をもっておきましょう。

 

そうすると「こいつ!えらそうにケチばかっかりつけやがって。オマエに何ができんねん!」と思われるリスクがグッと減ります。

 

 

次に、口先だけの人があなたのプランを否定してきたとしましょう。

 

そのときにこう言い返してあげましょう。

 

 

わかりました!私のアイデアでは到底及ばないものをお持ちなんですね?全力でお手伝いさせていただくので、企画から実行までのプロジェクトリーダーやってもらえませんか?ぜひ○○さんの仕事ぶりを拝見したいです!

 

 

ほとんどの人はこれでひるみます。

 

ケチをつけるエキスパートの特徴は「絶対に自分で実行しない」ということです。

 

 

これはディスカッションでも同様です。

 

自分が賢いので相手をカンタンに論破できると思っている人ほど、意見の防衛にはスキがあるものです。

 

 

なぜなら「自分は正しいと思いこんでいる人ほど強引な主張をする」ので、全力で相手を倒しにかかります。

 

その分だけ、自分の防御がもろくなるんです。

 

 

簡単に反論したりせずに、話を合わせてどんどんスキを大きくして、最期に一撃でとどめを刺してあげましょう。

 

 

 

ただ論駁が通用しないパターンがあります。

 

それは相手の主張と根拠が首尾一貫していて妥当性が完全に認められる場合です。

 

 

このような相手の場合は論駁は放棄します。

 

論駁は攻撃に偏った相手を粉砕するのには有効ですが、防御を固めた相手には効きません

 

 

 

でもそれでいいんです。論駁できなくても全然OKです。

 

何度もしつこいですが覚えておいてください。

  

 

論理に於いての目標は相手を倒すことではありません。 

 

自分の主張を矛盾なく説明することです。

 

 

 

論駁の力量は、相手の矛盾点を見抜くことに直結しています。

 

しかし、論駁の能力は自分の根拠の妥当性から矛盾点を排除しようとする姿勢から鍛え上げられていくものでもあります。

 

  

 

ひたすらに耐えて、耐えて、相手が無理な攻撃をしてきたら、そのすきを逃さず論駁で自滅に追い込む。

 

 

自然界でも同じで、ゾウやゴリラは比較的おとなしいですがほかの動物から攻撃されることは稀です。

 

なぜなら本気で反撃に出たときの強さをみんな知っているからです。

 

 

「コイツに不用意に手を出すとヤバい」という立ち位置が取れれば、建設的な議論ができると思います。

 

そのためには自分の論理を鍛え上げておくことが肝要です。

 

 

 

根拠のコンビネーションプレーで主張をサポート

 

ここまでいろいろな「根拠」をみてきましたが、いかがだったでしょうか?

 

 

論理性というのはルール・システムがすでに決まっているものです。

 

論文にもフォーマットがあり、形はどれも同じようものです。

 

 

だからこそ主張を「どのような根拠で下支えしていくのか?」にこそ意義がある、と言えます。

 

 

こういった訓練は授業やテストでいきなりできるものでありません。

 

普段から、いろんなことを考えて、論理的に話をできる人たちと意見を交換しておくことが大切です。

 

 

英語のアウトプットというよりは、論理的な考え方の流れが自然にできるようになれば、英語はあとからついてくると思います。

 

 

 

ほかにも「論理的思考」に関して参考になりそうな記事も書いているので、興味のある方はどうぞ。

 

 

英語はなぜ論理的な言葉なのか?(英語うんちく No.017)

 

 

自由英作文にも使える!英語小論文のシンプルな書き方(英語うんちく No.024)