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NATO PHONETIC ALPHABET で海外ドラマがもっと面白い!(英語うんちく No.021))

海外ドラマで Alfa, Bravo, Charlie などの英単語を見たことはありませんか?

 

 

私がこれらの英単語に初めて出会ったのはアメリカのゲーム(Halo 3)をやっていたときです。

 

降下艇(drop ship)の識別番号で「Echo 419」や部隊長の呼び方で「Bravo Chief」となどが使われていました。

 

 

なにか軍隊には似つかわしくない響きの英語だったので、ずっと気になっていました。

 

しかし、これらの英単語にはむしろ軍隊と密接に関係する意味がありました。

 

 

 

軍隊の通信につかわれる音声コード

  

スマホの登場で、世界のどこでもインターネットがつながれば画像通信ができる時代になりました。

 

しかし、昔はそうではありませんでした。

 

特に戦場ではなおさら通信状況は劣悪だったことも多々あったでしょう。

 

 

そこで通信状況が良くない場合でも A B C などをしっかりと聞き分けられるように、あえて Alfa Bravo Charlie などの特定の英単語をあてる通信コードが作られました。

 

 

この「A~Z」に対応させた英単語の一覧のことを「NATO Phonetic Alphabet」といいます。

 

 

phonetic は「音声や発音に関する」という形容詞です。

 

ここでは「スペルではなく発音を示すアルファベット」という意味で使われています。

 

 

NATOは「North Atlantic Treaty Organization 北大西洋条約機構」を意味しています。

 

 

 

では実際に見ていきましょう。

 

A から Z まで一気にならべるとこうなります。

 

 

Alfa / Bravo / Charlie / Delta / Echo / Foxtrot / Golf / Hotel / India / Juliett / Kilo / Lima / Mike / November / Oscar / Papa / Quebec / Romeo / Sierra / Tango / Uniform / Victor / Whiskey / X-ray / Yankee / Zulu

 

 

 

たとえば omega という場合は「Oscar, Mike, Echo, Golf, Alfa」といった具合です。

 

 

いまほど通信技術が発達していないころは、重要な内容を可能な限り短い言葉で伝える必要がありました。

 

 

そして、音声通信ができるようになった時代でさえも、言語の違う国家間で通信を行う必要があります。

 

 

そこで聞き間違いをさけるために、あえて発音が似ていない単語があてられています。

 

さらに、このコードは時代を経てなんども改訂されていまに至ります。

 

 

実際に、日本の英語教育で目にする範囲ではあまりなじみがありませんが、イギリスやアメリカのドラマなどにはよく登場しています。

 

 

 

 

Nato Phonetic Alphabet

 

それでは、このリストを一つひとつ詳しく見ていきます。

 

 

A: Alfa(アルファ AL FAH)

 

本来のスペルは alpha です。英語を母語とする人たち以外でも正確に発音できるようにわざと変えてあります。

 

ギリシャ文字の先頭の文字なので「一番、ボス」を意味する用語で使います。オオカミやチンパンジーなどの群れで1位の雄を「alpha male」といいます。人間でも権力志向が強い男性にも使います。

 

一方、「2位じゃダメなんですか?」という発想で、日本語だと「草食系(?)」にあたる男性を「beta male」と呼ぶ言い方もあります。

 

 

B: Bravo(ブラボー BRAH VOH

 

スペイン語の bravo に由来します。

 

 

C: Charlie(チャーリー / シャーリー CHAR LEE / SHAR LEE

 

男性の名前 Charles、もしくは女性の名前 Charlotte、Charlene の愛称などで使われます。あとは Alex なども男性でも女性でも使います。

 

 

D: Delta(デルタ DELL TAH

 

ギリシャ文字で4番目の「Δ」に由来します。またギリシャ文字の形状から、河口部の三角州のことを delta と呼びます。

 

 

E: Echo(エコー ECK OH

 

音の反射である「反響」や「山彦」のことです。コウモリやクジラやイルカが音波を使って、周囲の地形を知ることを echolocation といいます。

 

人間でも鍛えるとこれができるようで、視覚に障がいのある方が舌を強くはじくような音をだして、構造物の形状を把握するのを BBC か Discovery の動画でみたことがあります。

 

 

F: Foxtrot(フォックストロット FOKS TROT

 

社交ダンス(ballroom dance)のひとつです。なぜ「fox + trot」がダンスの名前になったのか由来は不明のようです。

 

 

G: Golf(ゴルフ GOLF)

 

スポーツのゴルフのことです。

 

 

H: Hotel(ホテル HO TELL

 

宿泊施設のことです。ちなみにインドでは hotel がレストランを意味することもあるようです。台湾では「飯店」がホテルを表す場合も多いようですし、旅行する際は注意がいりそうです。

 

 

I: India(インディア IN DEE AH

 

国名のインドのことです。ちなみに国名の別名として Hindustan(ヒンドゥー教徒の国)という言い方もあります。といってもインド人全員がヒンドゥー教徒ではないですが。

 

 

J: Juliett(ジュリエット JEW LEE ETT

 

本来のスペルは Juliet ですが、alfa と同じく、英語を母語とする人たち以外でも正確に発音できるようにわざと変えてあります。

 

女性の名前で、フランス語では「7月 July」を意味する言葉です。

 

 

K: Kilo(キロ KEY LOH

 

1 kg や 10 km のキロです。ギリシャ語で 1000 を意味する言葉からフランス語になりました。

 

 

L: Lima(リマ LEE MAH

 

ペルーの首都リマです。ちなみにペルーの国名は Peru ですが「ペルーの、ペルー人の」といった Japanese(日本の、日本人の) に相当する使い方の場合「Peruvian」になります。

 

 

M: Mike(マイク MIKE

 

人名の Mike です。

 

 

N: November(ノベンバー NO VEM BER

 

11月が由来です。 

 

 

O: Oscar(オスカー OSS CAH

 

人名の Oscar が由来です。 

 

 

P: Papa(パパ PAH PAH

 

父親のパパが語源です。ちなみにローマ教皇を意味する Pope は Papa(父) が由来です。教皇ヘの呼びかけも「Holy Father」ということもあります。 

 

 

Q: Quebec(ケベック KEH BECK

 

カナダのケベック州です。もともとはカナダ原住民の言葉のひとつであるアルゴンキン語(Algonquin)で「川の狭まるところ」という意味だったようです。

 

 

ちなみに北アメリカの原住民(indigenous people)を表す用語はアメリカでは「Native American」が好まれるようですが、カナダでは「First Nations people」を使うようです。

 

 

R: Romeo(ロミオ ROW ME OH

 

男性の名前 Romeo が由来です。

 

「了解(Message received)」という意味の rogerromeo に改訂される前に使われていたものです。

 

Romeo と Juliett がペアで入っているのがいいですね。なにをするにも、こういう感覚は結構大切かもしれません。

 

 

S: Sierra(シエラ SEE AIR RAH

 

スペイン語で「のこぎり」や「山脈」を表す言葉です。英語でもアメリカ西部はスペイン語の影響があるところの「山脈」を意味します。

 

英語で serrated blade で「ギザギザの刃」と言ったりしますが、語源は同じで saw(のこぎり)を意味するラテン語 serra です。

 

 

T: Tango(タンゴ TANG GO

 

ラテンダンスの一種であるタンゴが由来です。

 

 

U: Uniform(ユニフォーム / ウニフォーム YOU NEE FORM / OO NEE FORM

 

日本語の制服という意味のユニフォームが由来です。

 

ただ uniform とは「uni ひとつ」+「form 形」の合成なので「みんな同じ1つの姿」という意味です。「制度で決まった服」ではなく「統一 uniformity」の意味が大切です。 

 

 

V: Victor(ビクター VIK TAH

 

「勝利者」という意味でも男性名 Victor でも使います。

 

 

W: Whiskey(ウィスキー WISS KEY

 

お酒のウィスキーです。スペルは whisky の場合もあり、アメリカとアイルランド以外はこちらがよく使われるようです。

 

 

X: X-ray(エックスレイ ECKS RAY)

 

X線のことです。また ray は stingray などのように魚のエイのことを意味します。

 

 

Y: Yankee(ヤンキー YANG KEY

 

もともとイギリスによるアメリカ北東部の入植地であった New England の人々をさす言葉だったようです。アメリカ国外ではアメリカ人全般につかわれたりいろんな使われ方をするようです。

 

ちなみにカナダの国土になりますが、New England のすぐ北に Nova Scotia 州があります。これはラテン語で New Scotland という意味です。

 

イギリスだけでなく北アメリカでも England のすぐ北に Scotland が位置する構図です。

 

 

Z: Zulu(ズールー ZOO LOO

 

アフリカ南部の民族であるズールー人に由来します。

 

 

 

International Code of Signals

 

もともと NATO PHONETIC ALPHABET は海軍で使われていた手旗による通信信号から発展しました。

 

レーダーや通信技術がなかった時代は、手旗信号でほかの船舶との通信を取っていました。

 

 

敵国の船だった場合、いきなり攻撃というわけにはいきません。

 

味方の船だった場合、こちらの状況次第で、救助要請や作戦行動を継続するのかを伝えないとダメです。

 

 

NATO(North Atlantic Treaty Organization 北大西洋条約機構)のHPには、手旗信号やA~Z旗までの図解も載っています。 

 

https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_150391.htm

  

 

またこちらは通信信号に関する Wikipedia の記事です。

 

https://en.wikipedia.org/wiki/International_Code_of_Signals

 

 

 

日本でなじみのあるのは、東郷平八郎率いる大日本帝国海軍がロシア帝国のバルチック艦隊との日本海海戦時における「Z旗(ゼットき)の掲揚」でしょうか。

 

このZ旗の掲揚の意味はこうなります。

 

 

「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ」

 

 

東京の原宿周辺にある東郷神社に行けば、境内のいたるところにZ旗が立っています。

 

私も実際に行きましたが、原宿の空気感とのギャップがすごかったのを覚えています。

 

 

 

軍事用語が日常的な表現にもひろがる

 

ここまで軍事・通信用語として NATO Phonetic Alphabet を見てきましたが、日常的にも使われているようです。

 

だからこそ海外のドラマやゲームでもよく目にするのだと思います。

 

 

カナダ人の友達のお父さんが海軍の軍人なのですが、こんな言い方をするときもあるそうです。

 

 

"I will be there in 20 mikes." 

 

 

20 minutes をわざと m の音にあわせて mikes と言い換えています。

 

こうやって言葉遊びをしたりすることがあるので、ドラマなどで見たことがあるものなどを少し紹介します。

 

 

 

Bravo Zulu:

 

「good job」や「 well done」を意味し、通信コード「BZ」の意味から来ているようです。

 

 

40 Mike Mike:

 

40 mm 口径のグレネード弾のことです。

 

 

Lima Charlie:

 

「Loud and clear」

 

 

The whiskey is safe:

 

whereabouts で「場所のこと」です。

 

 

Tango Down:

  

「Target down」

 

 

Tango Mike:

 

「Thanks much」

 

 

Tango Yankee

 

「Thank you」

 

 

Oscar Mike:

 

「On the Move」

 

 

CHARLIE MIKE:

 

「Continue Mission」

 

 

 

このほかにも調べればたくさん出てきます。

 

しかし軍隊内の用語から来ているせいか、品が良いとはお世辞にも言えないものが多いので省くことにいたします。

 

 

もし海外ドラマやゲームなどで NATO Phonetic Alphabet がスペルを表記する意味以外で使われていたら、軍隊用語かスラングで検索をしてみるとわかるかもしれません。