時制・態 って何? 現在・過去・未来・進行・完了・能動・受動 の意味を理解する(英文法 No.013)

 

英文法にはいろいろな用語があります。

 

よく似ている用語もあり、何がどう違うのかわかりにくいです。 

 

 

こんな疑問を感じたことはないでしょうか?

 

 

・「現在形」と「現在進行形」はどう違うのか?

 

 

・「現在形」と「現在時制」はどう違うのか?

 

 

・なぜ "I am going to do it." は「未来形」なのか? 

 

 

・なぜ will は「未来形」で would は「過去形」なのか?

 

 

・なぜ「過去形」と「現在完了形」の意味は似ているのか?

 

 

・「受動態」の「態」ってなに?

  

 

 

これらは英語を学んでいる人が、一度は疑問に思うことではないでしょうか? 

 

つまり日本語の英文法用語はあまり英語を学ぶ助けにはなっていないように思います。

 

 

私見では、その理由は「日本の英文法がなんでもかんでも〇〇形』 と呼ぶから」だと思います。

 

 

 

〇〇形という用語に惑わされないように!

 

実は「〇〇形」というのは日本語として便利なだけのあやふやな用語です。

 

 

英語で英文法を学んでみるとわかるのですが日本語の「〇〇形」と全く同じ意味で使われている用語は存在しないんです。

 

 

未来「形」はありません。

 

"future" っていうだけです。

 

 

過去進行「形」はありません。

 

"past progressive" っていうだけです。 

 

 

現在完了「形」はありません。

 

"present perfect" っていうだけです。 

 

 

 

しかし「形 form」が使われている用語もあります。

 

 

動詞の原「形」は "base form" や "verb stem" といいます。

 

それぞれ意味するところは「基本の形」や「動詞の幹」です。

 

 

そのほかに "verb forms" という用語もあります。

 

これは「動詞が変化する」という意味です。

 

 

例をあげると do / did / done / doing などのことです。

 

 

つまり「いろんな形 forms」なので「形 form」に意味がちゃんとあります。

 

 

たとえば do の過去分詞「形」が done といった具合です。

 

しかし、一般的には done を「形」をつかわずに「過去分詞 past participle」と呼ぶことのほうが多いです。

 

 

 

このように「〇〇形」が日本の英文法では一定のルールもなく使われています。

 

 

・未来「形」(future)

 

・過去進行「形」(past progressive)

 

・現在完了「形」(present perfect)

 

・動詞の原「形」(base form / verb stem)

 

・動詞の変化「形」(verb form)

 

・名詞の単数「形」(singular form )

 

・名詞の複数「形」(plural form)

 

 

 

これらの「形」には一貫した意味合いはありません。

 

そもそも日本の英文法用語の「〇〇形」自体がテキトーなのです。

 

 

 

これは生物の分類学上のイヌとネコにも同じようなことが言えます。

 

 

ネコは「ネコ目ネコ科」です。

 

そしてなんとイヌは「ネコ目イヌ科」と分類されています。

 

 

実際に我々は日常的な感覚でネコとイヌを別物として認識しています。

 

 

しかし、イヌは分類学に従って大きくまとめると「ネコ目」になります。

 

つまり「目」という分類でいえば、イヌも、ライオンも、トラも、オオカミも、み~んな「ネコ」扱いです。

 

 

日本の英文法はなんでも「〇〇形」にしています。

 

つまりトラやライオンだけでなく、イヌもオオカミまでも「ネコ」扱いにしているということです。

 

 

 

ですが、英語の英文法用語の場合は違います。

 

 

ネコ「目」イヌ「科」のように分類用語が適切に使用されています。

  

つまり、ちゃんと「形 form」の使い方が決まっているんです。

 

 

「〇〇形」と使うのは、単語の変化「形」に対してのみです。

 

 

動詞でも名詞でも単語の変化「形」は「form」となっています。

 

  

日本の英文法の「〇〇形」をあやふやに使っている状況から脱出しないと、文法をいくら学んでもシステム的な理解はできません。

 

 

それゆえ日本の英文法だけ学ぶと「現在形」と「現在時制」の区別ができない状態に陥ってしまうでしょう。

 

 

 

イヌは「目」のカテゴリーでは「ネコ」です。

 

しかし「科」のカテゴリーであれば「イヌ」です。

 

 

まさに日本の英文法では「目」と「科」が区別できていないため「イヌ」と「ネコ」の識別ができない状況といえます。

 

 

 

ですが、そこはご心配なく!

 

英文法には「〇〇形」を明確に識別できる分類用語が存在します。

 

 

それが、次の3つです。

 

 

時制(じせい):tense 

 

行動の内容がいつ起こったのかを分類する用語です。

 

(例)現在時制(present tense)・過去時制(past tense)

 

 

 

態(たい):voice

 

行動が「する」か「される」かを分類する用語です。

 

voice となっていますが、あくまで文法用語なので「声 voice」とは無関係です。

 

(例)能動態(active voice)・受動態(passive voice)

 

 

 

相(そう):aspect

 

行動が「進行している」のか「完了した」のかを分類する用語です。

 

 (例)進行相(progressive aspect)・完了相(perfect aspect)

 

 

 

英語の英文法用語では「form 形」は「単語の変化形」だけに限定されています。

 

しかし、日本の英文法用語ではそうなってはいないのが現状です。

 

 

そこで、あいまいな使われ方をしている「〇〇形」を「時制」「態」「相」を使って、わかりやすく分類していくことにします。

 

 

 

英語の英文法の「form 形」を理解する

 

まず英語の「〇〇形」についてみていきましょう。

 

英語を習うと必ず出会うことになる「現在」「完了」「現在進行」などです。

 

 

これらの用語についている「形」というのは、英語の英文法では使われていません。

 

おそらく、日本語に文法用語を翻訳するときに追加されたのだと推察します。

 

 

 

それはさておき、英語の「形 form」を見ていきましょう。

 

 

原形(base form)

 

現在形(present form)

 

過去形(past form)

 

単数形(singular form)

 

複数形(plural form) 

 

 

 

英語の「form 形」が使われるのは動詞や名詞の変化「形」に限定されています。 

 

 

名詞の変化「形」は2種類です。

 

 

単数形(singular form)

 

複数形(plural form)

 

 

英語は多くの名詞が cup(単数)cups(複数)のように単数・複数で違う「形」をしています。

 

これらの単数・複数を区別するために名詞の変化「形」が利用されます。

 

 

 

一方、動詞の変化「形」には3種類あります。

 

 

・原形(base form)

 

・現在形(present form)

 

・過去形(past form)

 

 

 

「現在形」「過去形」は分かりやすいと思います。

 

この2つは「時制」を表すために動詞を変化させる形です。

 

「時制」については後で詳しく紹介します。

 

 

動詞を「現在形」に変化させると「現在時制」を表現できます。

 

 

I have it.

 

You have it.

 

I am hungry.

 

 

「現在形」の動詞で気を付けることがあります。

 

それは主語によって形が変わることです。

 

 

He has it.

 

He is funny.

 

You are funny.

 

 

 

動詞を「過去形」に変化させると「過去時制」を表現できます。

 

 

「過去形」の動詞の場合も、主語によって形が変わる場合があります。

 

 

I had it.

 

You had it.

 

He had it.

 

I was funny.

 

He was funny.

 

You were funny.

 

 

 

さいごに「原形」をみていきましょう。

 

 

動詞の「原形」が使われるところは3つです。

 

 

助動詞とペアのとき

 

He can have it.

 

He can be funny.

 

 

 

不定詞を作るとき

 

He wants to have it.

 

I want to be funny.

 

 

 

ING形を作るとき

 

He is doing it.

 

He is being serious.

 

 

 

原形が使われるパターンには共通点があります。 

 

「原形」は「主語や時制と関係ない場合」に使用されます。

 

 

 

不定詞はING形は「動詞」ではありません。

 

それゆえ「主語」とも関係なく「時制」にも関係ありません。

 

 

もし助動詞がある場合は「時制」は助動詞に依存します。

 

 

He can do it. (現在形)

 

He could do it. (過去形)

 

 

 

ここですこし注意ですが「助動詞の過去形」はあいまいな表現として「現在時制」で使うことがあります。

 

 

これは英文法の中でも「空気を読む必要があるパターン」なので、ユニークな要素として理解してください。

 

 

 

英語の英文法の「形 form」には意味があることがわかりました。

 

それでは、次に「時制 tense」を見ていきましょう。

 

 

 

「時制 TeNse」とは何か?

 

英語には「時制(じせい) tense」というコンセプトが存在します。

 

 

現在「形」と現在「時制」の違いがわからなくて困ったことはないでしょうか?

 

 

時制がわかりにくい理由は日本語にあります。

 

なぜなら「日本語には時制がない」からです。

 

 

 

よく過去で使われる「~した」というのも、実は「完了」の表現です。

 

 

・もし明日~したなら

 

・もし今日~したなら

 

・もし昨日~したなら

 

 

日本語に「過去」を「完了」を表すという特徴があるので、すこし混乱します。

 

 

ですが、ご心配なく。

 

 

英語の「時制」はわかりやすいです。

 

日本語「〇〇形」はテキトーな用語ですが、「時制」はしっかり意味があります。

 

 

 

それでは、さっそく時制がどんなものかをみていきましょう。

 

 

 

~ 時制の意味 ~

 

・行動がいつの話なのかを表す

 

 

(例)I am here. (現在の話)

 

(例)I did it. (過去の話)

 

 

 

  時制の表現方法 ~ 

 

・動詞(もしくは助動詞)を変化させることで表す。

 

 

(例) is, do, will, can など(現在

   

(例) was, did, would, could など(過去

 

 

 

~ 時制の数 ~

 

・「現在」と「過去」の2つしか存在しない。

 

・(厳密にいうと)未来時制は存在しない

 

 

 

 

ここでも重要になってくるのが「未来形」と「未来時制」の違いです。

 

 

未来形とは現在からみた未来や予定の話です。

 

英語の英文法では、単に「future 未来」と呼びます。

 

 

「未来 future」とは厳密には「現在からの意志・予定」です。

 

 

もちろん「未来」のことを表すのを「未来時制」とする解釈も存在します。

 

しかし、たとえ「未来時制」とよばれていても何も変わりません

 

 

 

英語の「未来」は「現在形」の動詞や助動詞で表現します。

 

それゆえ「現在時制」のカテゴリーに入ります。

 

 

~ 現在からの「未来」~

 

 

(例)I will do it. (現在時制)

 

(例)I am going to do it. (現在時制)

 

 

 

~ 過去からの「未来」~ 

 

 

(例)I would do it. (過去時制 or 現在時制)

 

(例)I was going to do it. (過去時制)

 

 

 

ここ注意するべきなのは「助動詞の過去形」である would could should might です。

 

 

これらはあいまいな表現として現在時制でつかうことがよくあります。

 

こういう使い方があるのは「過去からみた未来」が「現在」のことして受け取れるからだと思います。

 

 

このようなグレーな部分が英語にあるので「〇〇形(変化形)」「〇〇時制(いつの話)」が区別できていないと混乱してしまいます。

 

 

未来時制が存在せず、未来は現在時制で表現する」という視点が気になる方はこちらのブログをどうぞ。

 

未来形、ホントはただの現在形(英文法 No.014) 

 

 

 

もちろん時制のとらえかたは様々あります。

 

英語の英文法「未来完了進行形」や「現在進行形」を時制として扱っているものはたくさんあります。

 

 

このページは「現在完了進行形」などまで「時制」として扱っています。

 

https://www.englisch-hilfen.de/en/grammar/english_tenses.htm

 

 

 

しかし、このブログでは英語をシンプルな形で理解するために、英語の時制を「過去」と「現在」に限定します。

 

 

事実、ブリティッシュカウンシル(イギリスの英語教育機関)のウェブサイトでも同じことを言っています。

 

 

"There are two tenses in English: past and present. The present tense is used to talk about the present and to talk about the future."

 

(引用元:Present tense, British Council

 

 

時制は「過去」と「現在」のみです。

 

「未来」も「現在時制」のカテゴリーに入っています。

 

 

 

当然ですが、ブリティッシュカウンシルの言うように、時制と過去と現在に限定しても問題が生まれるわけではないので、ご安心ください。

 

 

 

Semantics VS Syntax

 

みなさんが日本で習う英文法は「世界基準で統一された英文法」ではありません

 

あくまでも「英文法の解釈のひとつ」にすぎません。

 

 

ということは英文法にも解釈は2パターンあるということです。

 

 

① 日本の学校や塾でならう英文法

 

イギリスの英語教育機関(British Council)の英文法

 

 

 

私が見るに、これら2つには文法に対する観点そのものに大きな違いがあります。

 

そして、その違いは英語に限らず言語学の用語として存在しています。

 

 

① Semantics(意味論)

 

言語を語法や構文よりも「どのような意味をもっているか?」を重視する文法解釈

 

 

② Syntax(統語論)

 

言語を語法や構文の観点から「文がどのようなルールで構成されているか?」を重視した文法解釈

 

 

 

日本で学ぶ英文法は、ほとんどすべてといっていいほど「semantics 意味を重視する文法」に偏っています。

 

 

それゆえ意味(和訳)を重視するがゆえに、「ルールやシステム」が軽視されてしまうという欠点があります。

 

 

なので、このような問題が起きてきます。

 

 

~ 一定パターンの和訳の丸暗記になりがち ~

 

I am going there . (現在進行形)

 

I am going to get there. (未来形)

 

 

ほぼ同じ形なのに「~している」と「~するつもり」という違う和訳があてられます。

 

そうなると "am going" や "to get" 単独なら、どんな意味・ニュアンスなのかわかりません。

 

それゆえ単語を入れ替えて、システム的に文を機能させることが難しくなります。

 

多くの日本人のライティングとスピーキングが無残な理由は、ここが大きな要因と思います。

 

 

 

~ 品詞の運用ルールがあいまいになりがち ~

 

I am going there . (現在進行形)

 

I have been there . (現在完了形)

 

 

この場合の「am と have は助動詞」という解説になることが多いです。

 

しかし、 am も have も「動詞」と解釈しても、英語はしっかり機能します。

 

 

それだけでなくほかの助動詞 will can may などとの識別もあいまいになります。

 

そうなると「品詞なんて知らなくてもいい。だってテキトーにつかわれているし。」となってしまう英語学習者が続出してしまう気がします。

 

 

 

もちろん、自分が理解できるのであれば、いずれの解釈でもよいと思います。

 

であれば、自分が運用しやすいほうを選べばよいことになります。

 

 

 

私は英語ネイティブではありません。

 

それゆえ少なからずルールやシステムで理解しなければなりませんでした。

 

 

個人的な経験では、英語は「意味・ニュアンス重視 semantics」で文法を解釈するとひどい目にあいます。

 

いちいち膨大な英語のパターンを覚えても、ほかに応用できないものばかりになってしまうからです。

 

 

ですが「ルール・システム重視 syntax」であれば、ほとんどすべての英語を正確に機能させ、応用できるからです。

 

さらに「例外事項」と呼べるものは「イディオム・語法」などと呼ばれる練習問題が世の中にはたくさんあり、一定レベルの練習すれば習得できるからです。

 

 

「ルール・システム(基本)」+「語法・イディオム(例外事項)」

 

 

この観点から英文法をとらえるとスラングや会話表現などを除き、死角がなくなります。

 

 

  

それでは semantics(意味・ニュアンス重視)に傾いている日本の文法用語「〇〇形」を syntax(ルール・システム重視)にて分析をしていきます。

 

 

 

日本の英文法の「〇〇形」には3パターンある

 

英語の「形 form」は動詞や名詞が変化する「形」のことでした。

 

 

特に「動詞の変化形」は「主語」に合わせて変化し「時制」を決定するものでした。

 

 

 

一方、日本の「〇〇形」はテキトーです。

 

とはいうものの日本の英文法の「〇〇形」にも一定のパターンが存在します。

 

 

大きく分けて3パターンになるので、実際に見ていきましょう。

 

 

 

~ 〇〇形の正体その1 ~

 

 

・単語の変化形に「形」をつける。

 

 

 

am の原が be

 

do の過去が did

 

未来を表す助動詞 will は現在

 

助動詞 will の過去が would

 

動詞 will の過去と過去分詞 willed

 

動詞 will のINGが willing

 

名詞 pen は単数、pens になると複数

 

 

 

このように動詞や名詞の変化「形」に対して適応されます。

 

このパターンは英語の form と同じです。

 

 

 

~ 〇〇形の正体その2 ~

 

 

・時制と区別せずに使う

 

 

I am going to do it.(未来

 

I will do it.(未来) 

 

 

 

am は be動詞の現在形です。

 

ですので時制は「現在」です。

 

 

 

will は 助動詞の現在形です。

 

ですので時制は「現在」です。 

 

 

そもそも英語の英文法用語には「未来」なるものはありません。

 

 

未来は「future」と表現します。

 

 

動詞の「未来の変化形」は存在しません。

 

それゆえ「未来時制」も厳密言えば存在しません。

 

 

このパターンは動詞の変化形と時制が完全にゴチャゴチャになった表現といえます。

 

 

それゆえ、下の例文のような疑問がわいてきます。

 

 

未来が過去形になる(?) 

 

・He was going to do it.

 

・He would do it.

 

 

 

しかし正しい理解はこうなります。

 

 

・He was going to do it.

 

was は be動詞の過去形なので「過去時制」です。

 

 

 

・He would do it.

 

would は助動詞 will の過去形です。

 

 

しかし助動詞の過去形は「現在時制」と「過去時制」の両方の可能性があります。

 

時制が過去・現在のどちらかは文脈依存(空気を読む必要あり)なので要注意です。

 

 

 

~ 〇〇形の正体その3 ~

 

 

・動詞のコンビネーション表現につかう

 

 

(現在完了) I have been here.

 

(現在進行) I am doing

 

(現在完了進行) I have been doing it

 

 

これらの動詞(have / am)を見てもらうとわかりますが、すべて「現在時制」です。

 

 

ちなみに文法書では「進行」の be動詞「完了」の have は「助動詞」となっているものが多くあります。

 

 

進行に関して言えば be動詞 を「動詞」と理解して全く問題ありません

 

詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

 

進行形の正体は動詞っぽい形容詞(No.011)

 

 

しかし、完了の have はすこし特殊です。

 

これは完了比較的新しくできたパターンだからです。

 

 

そもそも、ラテン語や古い英語では「完了の have は動詞」の扱いです。

 

完了で使う過去分詞も、本来の分詞(動詞の形容詞変化)なので形容詞として使うのが正しいです。

 

 

これらがペアになり「have + 過去分詞」というユニークな用法になったのが「完了」の正体なのです。

 

 

それゆえ「完了の have」は have / has / had / will have のように完全に動詞と同じ変化になっています。 

 

  

 

さて、完了はいったんおいておいて、話をもとに戻します。 

 

では、以下の例文はどうなっているでしょうか?

 

 

(過去完了) I had been here.

 

(過去進行) I was doing it.

 

(過去完了進行) I had been doing it

 

 

 

すべての動詞(had / was)過去形ですので、「過去時制」になります。

 

 

完了形と同様に、進行形というのも「be動詞 + 現在分詞」の用法でしかありません。

 

 

それゆえ "am / are / is + doing" は「現在時制」です。

 

そして was / were + doing は「過去時制」になります。

 

 

 

進行形をシンプルに理解したい方はこちらをご覧ください。

 

進行形の正体は動詞っぽい形容詞(英文法 No.011)

 

 

 

これらの例から「進行」や「完了」について言えることがあります。

 

 

それは「動詞+〇〇」となるコンビネーション表現が「〇〇形」と呼ばれているということです。

 

 

しかし「進行」と「完了」は「〇〇形」と呼ぶ必要はないのです。

 

なぜなら別の文法用語が存在するからです。

 

 

それが「相 aspect」と呼ばれる用語です。

 

 

 

「相 aspect」とは何か?

 

日本の英文法では「相(そう)」は全く出てこないのではないでしょうか? 

 

そこで、ブログの前半で紹介した内容を再確認します。

 

 

~ 相(そう)aspect ~

 

 

・行動が「進行している」のか「完了した」のかを分類する用語 

 

・相は基本的に2種類:

 

進行相(progressive aspect / continuous aspect)

 

完了相(perfect aspect)

 

 

 

ブリッティシュカウンシルのサイトに両方とも説明が載っているので下記のリンクを参照ください。

 

 

「進行相 Continuous aspect」

 

https://learnenglish.britishcouncil.org/english-grammar-reference/continuous-aspect

 

「完了相 Perfect aspect」

 

https://learnenglish.britishcouncil.org/english-grammar-reference/perfect-aspect

 

 

 

この「相」というのは「進行」と「完了」を区別するための用語です。

 

 

ING形は「進行相」を表現できます。

 

では「現在進行形」や「過去進行形」を言い換えてみます。

 

 

 

現在時制 + 進行相(現在分詞)

 

・I am doing it.

 

 

・He looks doing that.

 

 

 

過去時制 + 進行相(現在分詞)

 

・I was doing it.

 

 

・He looked doing that.

 

 

 

実際に英語の Wikipedia の「Continuous and progressive aspect(進行相)」にもこう載っています。

 

 

"The continuous aspect is constructed by using a form of the copula, "to be", together with the present participle (marked with the suffix -ing)."

 

進行相は<主語と補語をつなぐ役割をもつ>コピュラである be動詞現在分詞(動詞+ING)と共につかうことで構成されている。」

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Continuous_and_progressive_aspects#English (引用元)

 

 

厳密にいうと、すべての現在分詞に進行相があるわけではないのです。

 

・This looks interesting to me.

 

 

 

この interesting は完全に形容詞化されて「相」はないものと考えてもよいと思います。

 

 

しかし interesting には「相」だけでなくて、もうひとつの重要な要素が隠れています。

 

それを学校で最初に習うのが「過去分詞」のときです。

 

 

 

ですが、その前に「完了相」を見ていきます。

 

 

過去分詞は「完了相」を持っています。

 

 

それでは「現在完了形」や「過去完了形」を言い換えてみます。

 

 

現在時制 + 完了相(過去分詞)

 

・I have done it.

 

 

・It is done by him.

 

 

 

過去時制 + 完了相(過去分詞)

 

・I had doing it.

 

 

・It was done by him.

 

 

 

「現在完了(~したことがある)」「過去時制(~した)」とよく意味が似ています。

 

 

しかし「現在完了」は「現在時制+完了相」のことです。

 

つまり「現在すでに実現していること」を表すものです。

 

 

一方、過去時制は「昔の話だけで、現在とはつながってはいない」のです。

 

 

 

さて「時制+相」のパターンは「現在完了進行形」にも適用できます。

 

 

現在時制 + 完了相(過去分詞)& 進行相(現在分詞)

 

・I have been doing it.

 

 

 

この表現を使うことで「現在まで進行状態が完了している」となります。

 

つまり「いままでずっとやり続けている」というニュアンスになります。

 

 

さらに「未来完了進行形」はこうなります。

 

 

現在時制 + 完了相(過去分詞)& 進行相(現在分詞)

 

・I will have been doing it.

 

 

 

「未来」といっても「未来への意志・予定を表す助動詞 will」 は「現在形」です。それゆえ「現在時制」の扱いになります。

 

 

 

さて、ここまでみてきたなかで、学校や塾で習うことと違う部分があるように見えます。

 

それは下の2つの例文です。

 

 

・It is done by him.

 

・It was done by him.

 

 

 

この2つは「受動態」と習っていませんか?

 

 

確かに「be動詞 + 過去分詞」は「受動態」と考えてもよいです。

 

 

しかし、その答えでは50%しか正解ではありません

 

 

 

その理由はカンタンです。

 

 

それは「相 aspect」と「態 voice」が区別できないせいで起こる勘違いだからです。

 

 

 

「態 Voice」とは何か?

 

"This car is used by my brother."

 

 

この文章は「受動態 passive voice」でしょうか?

 

それとも「完了相 perfect aspect」でしょうか?

 

 

結論から言うと「どちらともいえる」です。

  

 

なぜなら「態」と「相」は別物です。

 

それゆえ「態」と「相」は同時に成立するからです。

 

 

 

織田信長は「男性」であり「室町後期~安土桃山時代の人物」です。

 

織田信長の「性別」と「生きた時代」をどちらかだけを選ばなくてもよいのと同じことです。

 

 

しかし日本の英文法は「進行形」と「受動態」を習います。

 

 

・I am doing. (進行形)

 

・It is done. (受動態)

 

 

 

これを織田信長と北条政子に当てはめます。

 

・織田信長(男性)

 

・北条政子(鎌倉時代の人物)

 

 

 

さて、日本史の知識なしに、この2人に共通点を見出せる人が何人いるのでしょうか?

 

 

それではより「ルール・システム重視」の解釈をします

 

 

 

 

~ 現在分詞 doing ~

 

・相:「進行」

 

・態:「能動」

 

 

・過去分詞 done

 

・相:「完了」

 

・態:「受動」

 

 

 

織田信長と北条政子も同じようにするとより正確になります。

 

~ 織田信長 ~

 

・性別:男性

 

・生きた時代:室町後期~安土桃山時代

 

 

~ 北条政子 ~

 

・性別:女性

 

・生きた時代:鎌倉時代

 

 

 

 

このように「相」と「態」は別々の要素として理解する必要があります。

 

 

英語版の Wikipedia の "participle(分詞)" には下記のようにあります。

 

 

"The traditional terms are misleading because the present participle is often associated with the progressive (continuous) aspect, while the past participle is linked with the perfect aspect or passive voice. "

 

「昔から使われている用語(*現在分詞と過去分詞のこと)は誤解を生みやすい。その理由は現在分詞進行相と関連することが多く、他方、過去分詞完了相受動態と関連しているからだ。」

 

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Participle (引用元)

 

 

 

英語では「aspect(相)」と「voice(態)」という用語が区別されているのがわかります。

 

 

それでは「態」について詳しく見ていきましょう。

  

 

~ 態(たい)voice ~

 

 

・行動が「する」か「される」かを分類する用語です。

 

・態は2種類:

 

能動態(active voice)

 

受動態(passive voice)

 

 

最初に確認ですが、この voice は文法用語で「声 voice」とは関係ありません。

 

 

さて「態 voice」とはシンプルにいえば、行動について "する" or "される" を区別するだけです。

 

 

具体例として、すこし前にでてきた interesting を見ていきましょう。

 

 

 

まず「interest (興味をわかせる)」という動詞が存在しています。

 

 

 

この interest を現在分詞と過去分詞に変えてみます。

 

・現在分詞化:interesting

 

・過去分詞化:interested

 

 

しかし辞書にも載っているように、この2つは「完全に形容詞」になる場合がほとんどです。

 

つまり「相」ではなく「形容詞化」と「態」がメインなんです。

 

 

・interesting(おもしろい、興味深い)

 

「態」:能動 ⇒ 興味をわかせる

 

 

・interested(興味がある)

 

「態」:受動 ⇒ 興味をわかされた

 

 

 

このように英語の辞書では形容詞扱いなのに、動詞の「現在分詞」や「過去分詞」と同じ形のものが多くあります。

 

その場合は「態」と「形容詞」の品詞ルールに従うことで運用できます。

 

 

ただ使い方によっては「相」の意味がある場合もあるので注意してください。

 

 

~ 現在分詞・進行相あり ~

 

・He is annoying me.

 

 

 

動詞 annoy(いらいらさせる)の目的語に me があります。

 

これは annoying が動詞の特性をもつ形容詞である現在分詞であることを意味します。

 

 

 

~ 形容詞・進行相なし ~

 

・He is annoying to me.

 

 

一方、こちらは to me となっていて、annoy(いらいらさせる)の目的語に me がなっていません。

 

 

 

目的語のない受動態は不可能!

 

「態」の理解をまとめるとこうなります。

 

 

~ 能動態 ⇔ 受動態 ~

 

・する ⇔ される

 

・させる ⇔ させられる

 

 

 

 

しかし、英語で「能動態」と「受動態」をマスターするには、もうすこし細かい説明が必要です。

 

 

なぜなら「能動態」というのは「目的語をもつ動詞」に適応されることだからです。

 

 

この「目的語を持つ / 持たない」を区別した動詞の分類があります。

 

 

・目的語を持つ動詞:他動詞(transitive verbs)

 

・目的語を持たない動詞:自動詞(intransitive verbs)

 

 

 

ただ「自動詞 or 他動詞」だけを分類して受動態を考えるのは、完全に正確とはいえません。

 

 

英語の動詞の分類は「五文型」が基本になります。

 

それゆえ SVOC で動詞は分類せねばなりません。 

 

 

① SV(目的語なし)

 

② SVC(目的語なし)

 

③ SVO(目的語あり)

 

④ SVOO(目的語あり)

 

⑤ SVOC(目的語あり)

 

 

 

受動態は「目的語を主語にする」というものです。

 

となると ① SV そして ② SVC の過去分詞は「受動」の意味がないことになります。

 

 

それゆえ、五文型をもう一度、整理するとこうなります。

 

 

~ SV / SVC の過去分詞 ~

 

 

「態」:なし

 

「相」:完了

 

(例)

 

① He is gone.

 

② It is become common.

 

*このパターンは古英語に多く、現代では「be動詞 ⇒ have」に変えるのが正式。

 

 

 

~ SVO / SVOO / SVOC の過去分詞 ~

 

「態」:受動

 

「相」:完了

 

(例)

 

③ I was worried.

 

④ I was given a task.

 

⑤ He was made angry.

 

 

 

 

正確な文法用語でいうと SV と SVC の受動「態」は作れません!!!

 

しかし SV と②SVC の動詞を過去分詞にできます!!!

 

それゆえ SV と②SVC の過去分詞は「完了相」だけを持ちます!!!

 

 

 

このように動詞の過去分詞をつくるパターンは五文型ごとにすこし複雑になります。(受動態の変化パターンについては記事を作成中です)

 

 

そもそも、なぜ過去分詞が「受動態」と「完了相」を持つのかを知りたい方はこちらをどうぞ。

 

過去時制と無関係?過去分詞は「受身・完了」の形容詞(英文法 No.017)

 

 

 

(本来、受動のはずの過去分詞が have とペアで完了の動詞になる解説も作成中です。)

 

 

 

英語で英文法を学ぼう!

 

このように日本語では「〇〇形」でまとまっていても、視点を変えてみるといくつかのパターンがあることが分かります。

 

さらにそれらのパターンごとにちゃんとシステムとして機能しているのが分かります。

 

 

日本語の英文法は「意味やニュアンスを重視」した和訳を基本としています。

 

それゆえなんでも「〇〇形」という言い方をして文法の全体的整合性がとれなくなっても、あまり気にしていないのだと思います。

 

 

 

しかし、英語の英文法には「ルール・システム重視 syntax」「意味・ニュアンス重視 semantics」の2つのアプローチが存在します。

 

 

日本の英文法用語に混乱した場合は、英語で「ルール・システム重視 sytax」の英文法を学んでみると、新たな地平が開けてくると思います。