
生徒さんからヒノキのまな板を頂きました。
職人さんがヒノキを削ってつくられたものだそうで、なかなか使いこみがいがありそうです。
ヒノキの英名はギリシャ神話由来
ヒノキは英語で Hinoki cypress や Japanese cypress といいます。
では Cypress とは針葉樹(conifer)の仲間であるイトスギのことです。
その名はギリシャ神話のキュパリッソス(Kyparissos)にちなみます。
これは、彼が仲良くしていた鹿を間違えて殺してしまったことを永遠に悲しむために神々にその姿を変えるように頼んだ、という話に由来します。
スイセンの英名もギリシャ神話由来
同じくスイセン(水仙 Narcissus)もギリシャ神話に由来があります。
ナルキッソスという美青年が、いい寄る相手をことごとく傲慢にはねつけたため、復讐の女神ネメシスにより自分自身に恋するように呪いをかけられて、その結果、スイセンになったという話があります。
自己愛のことを「ナルシシズム narcissism」、またそういう人を「ナルシスト narcissist(英語発音はナルシシスト)と呼びます。
また英語の nemesis にも「宿敵・仇敵」という意味があります。
キリスト教は自然に対して上から目線
欧米はキリスト教文化圏の影響もつよいので、自然に対して傲慢な姿勢があります。
「人間だけが God に近く、動物や植物は、人間が支配するために God が作られたものだ」
聖書の創世記(Genesis 一番最初の章)に実際にこのように書いてあります。
英語を教えていると「欧米人はなんであんなに自然に上から目線なのか?」と質問されることがよくあります。
その理由について、私見ではありますが「彼らがキリスト教文明圏の人間だから」と答えています。
一神教に共通する考え方があります。
「自分たちが God に一番近い存在であり、それゆえ、最も知恵があり、最も優秀だ」
こう信じて疑わないからです。
ギリシャと日本はよく似ている
古代ギリシャのお話を読んでいると、日本との共通点が多くあります。
死者の国へ死んだ妻を迎えにいく夫のオルフェウス(Orpheus)の話は「オルフェウス型神話」とよばれます。
日本ではイザナギとイザナミに置き換わっていますが、ほぼ同じ内容です。
そんな古代ギリシャと日本との信仰における共通点は、自然・神・人間との間に境界線を感じないところでしょうか。
人間が鶴になったり、ヒノキになったりというのは、まさに自然と人間が限りなく近い存在という発想がなければ生まれないでしょう。
自然と人間が一体になっているのは現在ではアジアによくみられる信仰です。
しかし本来はヨーロッパも含めて世界中にあったもので、「オルフェウス型神話」にかぎらず古代の神話には世界中で同じようなものが存在します。
そこには人間は自然と一体という発想が感じられます。
都市部に生きているとそうはなかなか感じにくいですが、日本やギリシャの先人たちにそのヒントは学べる気がしています。
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